iPhoneロック解除問題はアップルに理がある 司法省の主張を通すことの危険性とは?

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3月1日、公聴会で証言をするアップルの法務担当幹部(写真:The New York Times/アフロ)

2月下旬以降、連日のようにアップルと米司法省の「対立」が報道されてきた。「対立」とは、2015年12月にカリフォルニア州サンバーナーディーノで起きた銃乱射事件で容疑者の1人が使用していた「iPhone 5c」の中に残された情報にFBIがアクセスすることを手助けするべきか、しないべきかという争いである。

初期段階で、筆者はこの問題について詳細なリポートを書いた。そんなこともあり、筆者はこの話題に関してテレビ各局の報道局担当者から取材を受ける機会が何度もあった。そこで感じたのは、ステレオタイプな解釈があまりにも広く蔓延していることだ。

アップルは企業利益を優先しているのか

現在、問題は単純化され「テロ事件の捜査にアップルが協力を拒んでいる」「その理由はプライバシーを守るためである」と伝えられている。

アップルは「協力はしたいと考えているが、今回のケースでは影響を被る範囲が広く無用なリスクを増大させるため協力はできない」と主張。これに対し米司法省は、一貫して「プライバシーを守らない企業というレッテルを避けるため、企業利益を優先してテロ捜査に協力しないアップル」というイメージ戦略を展開するなど、泥仕合の様相を呈している。

"このように、真っ向から対立"と言いたいところだが、冷静に問題を俯瞰してみると、互いの主張が噛み合っていないことに気付くだろう。なぜ噛み合っていないのか。断片的に伝わっている情報をまとめ、事実関係を整理してみよう。

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