「3月人事」にイラつく人に欠けている視点 明日につながる「気持ちの整理術」

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財務省の次官に3年続けて同期が就任して、世間を驚かせたことがあったでしょう。とても優秀な人たちだったことももちろんあるとは思いますが、何よりも腐らないで一生懸命仕事をしていたからこそだと思いますね。

起こった事実には、必ず理由がある

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――納得のできない人事であっても、可能性を捨てるなと。

もちろんです。あきらめたら終わりでしょう。

さっきの人とは違うんですが、東レにもう一人、実力があるんだけどかわいげがない男がいましてね(笑)。英語はうまいし、切れ者で短時間で仕事を片付ける。でも、頭がよくてもプライドが高いと嫌われるでしょう。

部下にも厳しくて、彼の下でメンタルをやられたのが2、3人出ましたし、自分が部署を異動するときには、秘書を連れて行って周囲を驚かせました。偉くなる前だというのに、人事異動まで自分で決めるのか、とね。普通は異動したら、そこの人材を使わなくちゃいけないんですよ。そういうことを平気でやる人だったんですね。

その彼も昇進には手こずっていました。でも彼は、辞めはしませんでした。そのあとずっと遅れて役員になり、なったと思ったら取締役1年で常務になり、常務1年で専務になり、専務1年で副社長になったんです。驚異のスピード出世ですよ。最後の最後で彼の能力を高く評価する役員と出会ったからです。我慢できずに辞めていった人とは対照的でしょう。「もう終わった」と思っても、まじめに頑張っていれば、誰かがそれを見ているんですよ。

起こった事実には、必ず理由があるものです。どの時点でも、どんな問題が起こっても、正しい理由をつかもうと努力すること。それは人事の問題に限りません。

どうして仕事がうまくいかないのか。どうしてお客さまに気に入られないのか。どうして部下が従わないのか。その時々に、問題が起きた理由を真摯に受け止めて、自分を振り返る習慣を持っているかいないかによって、長い目で見たときに、大きな差ができているはずです。

(構成:山田恵子、撮影:後藤利江)

佐々木 常夫 佐々木常夫マネージメント・リサーチ代表取締役

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ささき つねお

1969年、東京大学経済学部卒業、同年東レ入社。自閉症の長男を含め3人の子どもを持つ。しばしば問題を起こす長男の世話、加えて肝臓病とうつ病を患った妻を抱え多難な家庭生活。一方、会社では大阪・東京と6度の転勤、破綻会社の再建やさまざまな事業改革など多忙を極め、そうした仕事にも全力で取り組む。

2001年、東レ同期トップで取締役となり、03年より東レ経営研究所社長となる。 10年、(株)佐々木常夫マネージメント・リサーチ代表。

何度かの事業改革の実行や3代の社長に仕えた経験から独特の経営観をもち、現在、経営者育成のプログラムの講師などを務める。

著書に『完全版 ビッグツリー』『そうか、君は課長になったのか。』『働く君に贈る25の言葉』(以上、WAVE出版)など多数。

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