「3月人事」にイラつく人に欠けている視点 明日につながる「気持ちの整理術」

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――他人の評価にはある程度客観的になれたとしても、自分を客観的に見ることはもっと難しそうですが。

そうです。自分自身に対して客観的になるのは本当に難しい。私だってそうです。だから周りの人に聞くようにしてきました。

「私はいま、自分がどうなのかがわからなくて迷っている。意見を聞かせてほしい」と素直に伝えれば、人は真摯に話してくれます。

「あいつが上がったのに俺は上がらないのはおかしいじゃないか」みたいな聞き方をすれば、「そうだよね、君は実力あるのにね」と、相手もそれにあわせた答え方をするでしょう。それでは聞く意味がない。大事なのは真実を知りたいという気持ちです。そして、それを素直に受けとめる謙虚さですね。

今の自分の長所や欠点、力量を知ってはじめて、本当にやるべきことがわかるし、不要な嫉妬をしなくて済むんですよ。

――他人に聞くには、プライドを横に置く必要がありますね。

「老いては子に従え」という言葉がありますよね。その言葉どおり、今、私は子に従っています。パソコンの使い方とか、いくら頑張ってもかないませんから。「お父さん、困ってるから相談に乗ってくれ」と言えば、子どもはちゃんと手を貸してくれるものですよ。

でも、それができない年寄りがたくさんいます。プライドが高くて、お前は俺の子どもだろう、嫁だろう、後輩だろうと、自分を誇示したがる。そんな具合では、適当に相手をされて終わりです。

聞きやすい同僚だけでなく、なるべくいろんな人に聞く。部下であれば、若い人なりの感覚で話してくれるし、目上の人なら知識や経験が豊富なぶん、なおさらいろいろ言ってくれるでしょう。そういう言葉に謙虚に耳を傾けることが大事なんです。

耐えてがんばる姿は、誰かが見てくれているもの

――人事は、ポストの椅子取りゲームでもあります。限りあるポストを取られて、先がないと感じている人もいるかと思います。

そうですね。東レでは、経理部門、人事部門、研究部門などがあって、研究本部長になったらだいたいその人は4年くらいはそのポストにいました。そうすると、その次の年の人はいくら実力があっても上がれない。やっと部長が辞めるときには、4年後の人が上がってくる。そうすると、その狭間の人は上がれないまま終わることになります。会社には、こういう時の運というのが確かにあります。

それであきらめるのか、それでもあきらめないのか。それもその人の考え方、人生観です。でもあきらめずに頑張っていると、意外なところで芽が出たりすることもあるのです。

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