西荻窪には、どうして「スタバ」がないのか? 住みたい街の吉祥寺とは違う「隣駅の魅力」

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西荻窪南口を出てすぐ右に柳小路という飲み屋街がある。やきとり戎は店舗がどんどん拡大している

あくまでも主観であるが、西荻窪や高円寺は、漫画家、文筆家、俳優、ミュージシャンなど、こだわりを持っている人が多い街だと思う。だからスタバというブランドに惹かれて通う姿勢とは一線を画しているのかもしれない。

そういえばスタバに限らず、西荻窪には他の駅よりもチェーン店が少ない。さらに言うと、西荻窪では早い時間からお酒を飲んでいる人の姿をよく見かける。そんな街にスタバは似つかわしくないのかもしれない。

住人の年齢層は全体的に西荻窪より高円寺のほうが低い。その上、沿線で駅周りの再開発がされていないのは西荻窪だけだ。この分だと、もしスタバができるとしたら、高円寺が先になる可能性が高い気がする。ちなみに中央線界隈では、3月11日頃に中野坂上に新店舗が開店するそうだ。

でも、やっぱり西荻窪が好き

大昔、学生時代には私も吉祥寺にあこがれていた。実家を出て最初に妹と同居していたが、2人でよく吉祥寺に遊びに行って、この辺に住みたいと話していたものだ。しかしその頃から人気の街で家賃も高かったため、住むことは叶わなかった。そして今の家に引っ越す前に、西荻窪に住んでいる人たちから「西荻はいいよ」との話を聞き、だんだん西荻窪に興味を持っていったのだった。

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西荻の主とも言えるピンクの象

そして住んでから、やはり吉祥寺でなく西荻窪で良かった、と強く思うことがある。それは西荻窪駅までは杉並区、ギリギリ東京都区内だということだ。乗車券を買う際、201キロ以上だと表示される「東京都区内」、西荻窪はその範囲内なのだ。東京23区内の普通列車が1日乗り降り自由な都区内パスも同様である。吉祥寺からだと、これらは西荻窪駅までの一駅分の区間の料金を別途支払わないとならない。それが意外とめんどくさいのだ。

西荻窪駅の南口すぐの仲通商店街には、ピンクの象の張りぼてが吊り下げられている。この古いアーケード街でだいぶ昔からあるようだが、なんのためなのかずっと気になっていた。どうやら、昨年閉店してしまった西荻餃子の主人が考案したものらしい。年に1回下ろされて、お祭りの山車として活躍するそうである。そういえば数年前、象がいない?と思った日があった。

「ピンクの象を引っ張るぞー」

これが祭りの名称とのこと。このユルさと、こぢんまりとしたサイズ感が西荻らしい。そしてスタバができてもできなくても、この街が大好きだと感じる。ピンクの象は、今日も優しい目で西荻住人を見守ってくれている。

 

YASCORN(やすこーん) 漫画家

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2008年から乗り鉄、撮り鉄、メシ鉄。東京都在住。小学館の児童誌でデビュー以来、子どもから大人までファン層は広い。キャラクターデザイン、シナリオ制作、ワークショップ、音楽など多彩に活動。単行本は『おんな鉄道ひとり旅』1巻(小学館・「プチコミック」増刊号で連載中)、初の鉄道ミステリー小説『のぞみ、出発進行!!』(小学館ジュニア文庫)、『メシ鉄!!!』1~3巻(集英社・電子書籍のみ)、『GOGO♪たまごっち!』シリーズなど。「0泊3食おひとりさま電車旅」(横浜ウォーカーWEB・コミックエッセイ)、「鉄道食べすぎひとり旅」(ハルメクWEB)ほか連載中。(写真:坪内政美) 最新情報はTwitterで→@yascorn

 

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