インサイダーで露呈、ネット証券の優等生・カブドットコム証券の綻び

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インサイダーで露呈、ネット証券の優等生・カブドットコム証券の綻び

ネット証券大手のカブドットコム証券は7月31日、元社員のインサイダー取引事件に関し、金融庁から業務改善命令を受けた。不公正取引を防ぐための社内の管理体制に、不備があったという。

個人犯罪ではあるが、原因の一端は会社にもある。元社員は2007年に二度にわたって実施された、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)によるカブコムへの株式公開買い付けに関する重要事実を、公表前に入手。いずれも、齋藤正勝社長から役職員全員に送られた社内メールがきっかけだった。この情報を基に、知人名義の口座を使用してカブコム株を売買し、不正な利益を得た。

ワンマン経営に限界

社内に情報管理などのルールがありながら、実際は適切な運用がなされていない実態も明らかとなった。外部専門家で構成する特別調査委員会(委員長・久保利英明弁護士)は7月28日、報告書で「本件は齋藤正勝社長の個性に根ざした経営手法に起因したもの」と結論づけた。

さらに報告書は、経営体制の問題にも踏み込んだ。「人事に関する機能や組織が存在しておらず、外部の各種認定試験の結果を重視して能力を評価するなど、会社に対する忠誠心を失わせる環境があった」と指摘。再発防止策の一つとして「独断専行型の経営手法に、随所で限界が見え始めている。齋藤社長の意識改革が必要」と提言する。

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