インサイダーで露呈、ネット証券の優等生・カブドットコム証券の綻び

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 同社は、大手証券系システム会社出身の齋藤社長が伊藤忠商事の支援を得て、1999年に創業。ネット証券大手で唯一、取引システムを内製化するなど、徹底的な効率経営で存在感を発揮してきた。09年3月期経常利益率は35%と、松井証券(37%)に次ぐ業界2位に位置する。

オフィス内には衝立(ついたて)がなく、全社員が一堂に会して仕事をする。にもかかわらず、社員間で1日数百件のメールが飛び交う。その宛先のほとんどに、齋藤社長が含まれる。時には管理職を飛び越えて、社長から直接、社員に指示が出されることも珍しくない。

結果的に、こうした企業風土が事件の遠因になった。親会社のMUFG幹部は「カブコムは齋藤社長を更迭して回る組織ではない。だが、今までのやり方には限界がある」と話す。改善命令を受けて、社長を含む役員4人の報酬を3~4カ月間で30~50%カットすると発表した。

齋藤社長は著書『本気論』の中で「社員が仕事を愛せなくなったらその会社は終わり」と持論を展開する。忠誠心を失った社員による不祥事は、まさにワンマン経営の綻び。社長自ら「変わらなければならない」という重い課題を突き付けられている。

(武政秀明 =週刊東洋経済)

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