スバル「WRX」は、雪道でもこんなにスゴい 4タイプの4輪駆動もトコトン乗り比べた

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……と、まあ、難しい話になってきたけれど、要は、最近のトレンドである「都会派AWD」、悪路もしっかり走れて普段のドライバビリティも高い「大人のAWD」、ラリーを戦っちゃうような「勝負AWD」、簡便でオンデマンドの「実用AWD」の4種類があるってことだ。

いざ、雪上に!

AWDの魅力は走ってこそわかるもの。目の前に広がるのは、アップダウンの激しいオフロードの雪上コースだ。「フォレスター2.0XT eyesight」「フォレスター X-BREAK」「レガシィ アウトバック」「スバルXV」「スバルXVハイブリッド」といったアクティブトルクスプリット方式のAWDを積んだモデルを試す。

この方式のAWDはともすれば、”なんちゃってヨンク”と思われがちだが、ところがどっこい。雪道の走破性は高かった。急な下り坂でも、ブレーキを自動制御しながら急勾配をゆっくりと下れるヒルディセントコントロールによって、危なげなくクリアできる。上り坂の途中で一旦停止して、再び、坂道を登ろうとするようなシーンでは、通常はタイヤが滑るが、センサーが滑りを検知して、前後のタイヤにトルクを適正に配分してくれる。

「前後のトルク配分を、前後の軸重に近い60:40に設定している」と、ちょっと難しそうなことがスバルの資料には書かれているけれど、その意味がわからなくたって「すごい!こんな上り坂やカーブのある雪道を、難なく走れるんだ!」ということは体感できる。

もう一つのキモは、「トランスファー内の電子制御式油圧多板クラッチを使って制御しており、ハンドル角、ヨーレート、横加速度信号などの情報をモニターする新世代のアクティブトルクスプリット方式AWDを新採用」なんだけど、そもそも「ヨー」なんて日常会話で使わない。それよりむしろ、「雪道でカーブを曲がるときに、ハンドルを切った分だけ素直に曲がるなー!」と感じられればいいのだ。

テストした5車種の中では、ボディが軽い分、「XV」が雪道での走りには有利だ。同じ「XV」でもハイブリッド仕様では重量増加が避けられないが、重たい電気モーターをクルマの中心に近いところに搭載して、電池や制御ユニットをまとめて床下の低いところに積んでいる。

物理の法則に従えば、素晴らしいことをやっていると思うけれど、はっきり言って、ちょっと作りにくそうだ。きっと、他の自動車メーカーなら、コスト高を嫌ってやらないと思うけれど、スバルはハイブリッド化による重量増加で走行性能を犠牲にしないために、こうした手の凝ったことをする会社だということだろう。

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