ホンダがヒット車を生むために作った新体制 走りやデザインの向上がカギに

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2月24日の記者会見で「商品力ある車」を強調する八郷隆弘社長。ホンダらしさは復活できるか(撮影:梅谷秀司)

「抜本的な事業改革が必要と考えて取り組みを始めた」。2月24日に開かれたホンダの記者会見。八郷隆弘社長(56)は、品質問題で傷ついた、屋台骨の4輪事業を立て直すための具体策を明かした。目玉は、製品開発の子会社・本田技術研究所が車造りに集中してリードできる、新体制への転換だ。

もともと商品企画の主導権は研究所にあったが、組織変更で権限があいまいになり、実質的には「(港区)青山」と呼ばれる本社が持つようになっていた。商品企画(本社)と開発(研究所)で意思疎通が薄くなったところに、伊東孝紳前社長が「2016年度に世界販売600万台」の目標を掲げ、“量の追求”を始めた。

その結果、「身の丈を超えたスピードと規模で商品投入に追われ、研究所の開発現場では負荷が増大」(八郷社長)。看板車種「フィット」の連続リコール(回収・無償修理)の要因の一つとなる。八郷社長は4輪の開発現場を回る中、このままではホンダが持つ創造性の低下につながる、と危機感を抱いた。

過去の遺産に依存し続けてきた

今回の体制変更によって、研究所は商品企画から開発まで手掛けることになる。品質問題を教訓に1台の評価を一貫して行うための責任者を置く方針だ。こうした動きを「ホンダらしさを作る原点であり、やるべき方向性」と、ナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹アナリストは評する。

4輪事業の開発強化を急ぐ背景には収益力低下もある。今年度第3四半期累計の営業利益率は3.3%で、2輪事業の11.3%と比べ低さが際立つ。品質関連費用の増加、新興国通貨安など外部要因だけでなく、構造的な問題も足かせ。今期は生産能力555万台に対し、販売見込みが478万台と、約80万台が余剰で固定費負担が重いからだ。

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