スバル「WRX」は、雪道でもこんなにスゴい 4タイプの4輪駆動もトコトン乗り比べた

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背高ボディでサイズも大きいフォレスターとアウトバックは、XVと比べると、重々しいように感じるが、このサイズのSUVとしては十分に軽快だ。なかでも、「フォレスター X-BREAK」は、走っていても楽しい。もし、降雪地帯に住んでいたら、実用性も含めて、このクルマを買おうかなあ、なんて想像をたくましくしてしまう。

スバルのAWDの真打ち、WRX STi

スバルのAWDの歴史は、1972年のレオーネ「エステードバン」に遡る。その前年に東北電力の要望を受けて、宮城スバルがシンプルな機構でAWD化できると提案し、試作まで行って本社に持ち込んだという逸話がある。

基本のアイデアが良かったようで、わずか8カ月の開発期間で国内初のAWD車の発売に漕ぎつけた。実は、それ以前のスバル1000の開発時でも、前後の重量配分とトラクションの関係を最適化して、前輪駆動車でも雪国での走行性能の高さでは定評があった。今でこそ流行りの「安全・安心」というキーワードを、この時代からスバルは実行していた。

スバルといえば、本格的なフルタイムAWDと思われているかもしれないが、パータイムAWDやスタンバイ式AWDのほか、ATとAWDの組み合わせなどの技術も他社に先んじて開発していた。一例を挙げれば、クロカン・ブームの時代にパートタイムAWDが主流になり、高速走行では2WD走行が一般的だったけれど、スバルはAWDでの走行領域を広げた。量産車AWDのAT車の開発も、世界ではじめてスバルが実現した。

技術的な観点からだけではなく、マーケティングの視点からも、スバルはAWDを重視している。そのきっかけは、2代目レガシィだった。このクルマは当初、北米工場でFWD(前輪駆動車)も設定したのだが、そのためにかえって特徴がなくなってしまって、クルマが売れないという事態に陥った。

そこでアメリカの販売会社と相談して、「世界一、シンプルなAWD」を特徴に掲げることで、それ以降、”AWD=スバル”として認知されるようになったのだ。アメリカでは、ハワイでもスバル=AWDのイメージでクルマが売れているというから恐れ入る。ちなみに、残りの6%の内訳は、5%は「BRZ」と姉妹車の「86」、1%がインプレッサ国内仕様にあるFWD車だ。

スバルは2012年以降、販売台数を伸ばし、2015年のロサンゼルスショーでは北米工場への投資も発表している。

「この投資をしても、実はまだまだ北米での需要に応えきることはできない」と、吉永社長は語っていた。北米のトップも、「数年前と比べて販売台数は倍になったが、本社がクルマを供給してくれさえすれば、まだまだ売り上げを伸ばす」ことができると話していたぐらいだ。

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