高級食器クライシス、相次ぐ経営破綻

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100円ショップが中国洋食器を育てた

話は1970年代までさかのぼる。米国では自動車に先駆けて、日本製の洋食器が排斥運動のやり玉に挙がっていた。85年のプラザ合意による急激な円高は、日本からの輸出をさらに激減させる。代わって台頭したのが中国だった。

皮肉にも品質問題が付きまとう中国製品の育成役を担ってきたのも、日本市場である。日本のスーパーなど量販店と取引するうちに、中国は品質を向上させていった。さらに00年以降、100円ショップ店舗網の急激な広がりで、中国製品のパワーは増大した。

「100円ショップの中国製品も日用品としては何ら問題なく使えるようになった」(洋食器メーカー関係者)。その実力を引っ提げて、欧米メーカーの下請けも担う。市場特性を十分に学ぶと、それら高級メーカーさえ押しのけて、市場を席巻していく。現在、欧米、日本における輸入洋食器の6~7割は中国製が占めるという。

中国製品が台頭する背景には、消費者側の変化がある。日米欧の高級食器の三大消費地では、核家族化などによって生活習慣が変わってきた。高級メーカーには、それがボディブローのように効いていた。

日米欧で生活習慣変化 業務用食器も大打撃

「米国では結婚のときの家財道具として食器が求められてきたが、そうした習慣が薄れた。クリスマスや感謝祭など節目のパーティも少なくなり、ディナーセットなど特別な食器が使われなくなってきた」(ノリタケカンパニーリミテドの馬渕義隆執行役員)。欧州でも親から子へ高級食器を引き継ぐ伝統が消えつつあるという。

日本の場合、結婚披露宴の引き出物として、高級食器は定番品だった。しかし、最近はカタログから商品を自由に選択できる手法が増え、収納場所に困る食器は敬遠される傾向が強くなった。「そもそもインスタント食品やテイクアウト、コンビニ弁当の世代が主流になってきて、根本的に食器の必要性が低下しているのではないか」(業界関係者)。

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