無人タクシーが日本の公道を走る日は来るか 2020年の事業化へ実証実験スタート
道路上の白線が消えている場合、人間なら勘で運転できるが、ロボットタクシーは前方と後方の白線を人工知能で予想しながら走行する必要がある。一車線の公道を走ることで人工知能を学習させていくことも、実証実験の大きな目的の1つだ。
車線変更や右折も技術的には可能だが、「2020年に確実に実現できるレベルを考えると、左折だけで街中を巡回するコースになるかもしれない」(谷口会長)。
今回に続く2回目、3回目の実証実験も視野に入れており、「移動距離を広げることと、多くのモニターに乗ってもらいサービスの内容を考えたい」(中島社長)。ロボットタクシーでは車両の販売は考えておらず、あくまでもサービスに特化する方針だ。
料金体系は「無料と定額制、従量制の3つの課金手段がある」(中島社長)。たとえば、広告モデルとしてスーパーなどが顧客サービスとして無料提供するほか、自治体が過疎地などの住民を対象に無料で提供するといった使い方が考えられる。
移動距離や使う頻度が決まっている場合は月額料金、それ以外のケースであれば従来のタクシーと同じ従量制など、幅広い料金体系を想定しながら、市民の声を拾って反映させていく。
実用化への焦点は法規制の障壁
事業化に向けて開発が順調に進んでいるように見えるが、同社が目指す無人運転には大きな障壁が立ちはだかる。国際的な交通ルールを定めた「ジュネーヴ条約」は、運転時に車内に運転手が乗ることが前提とされている。国際条約を変えなければ、無人運転は実現が難しい。無人運転車を開発中の米グーグルも、同じ条件の下に置かれている。
昨年11月に官邸で開かれた官民対話で、安部晋三首相は「2020年までに無人自動走行による移動サービスや、高速道路での自動運転が可能になるようにする。そのために、2017年までに必要な実証を可能とすることを含め、制度やインフラを整備する」と発言した。
中島社長は「2020年までに無人の移動サービスを法律で間に合わせようという国は、世界中で日本しかない。世界で日本が最も進んでいる」と力を込める。ロボットタクシーは3月に、宮城県仙台市の特区で完全無人運転の実証実験を予定している。
国の後押しも受けて動き出したロボットタクシー。本当に2020年までに事業化できるのか。今回の藤沢市での実証実験が、大きな一歩であることは間違いない。
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