財務諸表に表れない資産の有効利用を、知財も自前主義脱皮へ

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初年度にはわずか6件にすぎなかった成約件数が、07年11月には累計で1万件を超え、09年3月末には1万2124件となった。技術導入による製品売上高や開発投資額などの経済的なインパクトも、累計で3000億円を超えた。年間ベースの成約件数もコンスタントに増え、ここ数年は年間1400件、200億~400億円程度の経済効果も出ている。だが、開発型企業の台頭の影響が大きく、一般製造業間の技術移転は、それほど増えているわけではない。技術移転には、出す側にも、受ける側にもリスクがあるからだ。

知財流通はリスク管理が前提

「提携など二度と考えない」。ある中堅企業経営者の悲痛な叫びである。数年かけて開発した「史上初」の自信作。だが、マーケティングに不安があった。せっかくの開発製品をできるだけ広く世の中に知ってもらいたい。そこで販売力のある大手メーカーに提携を持ちかけ、好感触を得た。しかし、待てど暮らせど音さたがない。どうなっているのか、と心配し始めた数カ月後、当の大手メーカーが、自社の独自開発と銘打って製品発表を行ったのだ。特許申請、意匠登録をはじめ、開発技術の知的所有権を担保しておかなかったこと、弁護士や弁理士など知的所有権の専門家と同席しなかったことなど、いくつもの不備があったことは否めない。悔やんでも手遅れだ。

こうした相手の「善意」を前提とした失敗事例は少なくない。「暗黙の了解」は存在しないと考えるべきだ。研究・開発事業にも提案件数などノルマがあり、大手ほど開発担当者にかかるノルマは厳しい。適切な事前対策がなければ係争に持ち込むこともできない。特に中堅企業は、自社の技術力を過小評価しがちで、特許申請してもごく狭い範囲に限定した技術のみに焦点を当てるため、周辺技術から簡単に突破されてしまう。公開しなければ技術マッチングは不可能だ。だが、公開することのリスクは避けられない。

一方、受ける側にもリスクはある。本当に自社に必要か、自社技術との融合が実際に可能なのか、その見極めなくしては時間とコストのムダになる。だが、現実問題として、「その見極めができる日本企業はほとんどない」と知財戦略に詳しいコンサルティング会社・PRTMのパートナー、小野寺寛氏は心配する。

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