空前の焼肉バブル!「大阪の肉」が人気のワケ 外国人観光客はなぜ「ミナミ」を目指すのか

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また、ぐるなびの同エリア担当はこう話す。

「全国的に肉ブームですが、その中でもミナミ人気の伸び率は特徴的です。客足が減ったという話は聞きませんし、一気に数千単位でページのアクセスが伸びている店舗もあります。売り上げも全般的に好調ですね。特に外国人の方からの需要が多いようで、弊社の外国語版ページの掲載店も増えています。旅行者の中には、海外から日本版ページをチェックして予約する強者もいるようです」(ぐるなび・ミナミエリア担当)

インバンド商品を多数取り扱う広告代理店担当者によれば、現在は焼肉業態の出稿の多さから広告制限をかけているという“異常事態”だという。

「外国人旅行者が大阪で必ず食べるのは、お好み焼き、たこ焼き。個人的な感覚では、その次に肉料理が来るレベルで推移していると感じています。実際に、旅行者向けの媒体では、お肉業態の出稿が相次ぎ、媒体側からは『ページのバランスもありこれ以上は増やせない』と、規制が掛かっています。恐らくミナミは、焼肉店の多さから、価格・質ともに他のエリアよりお値打ちで食べられるという感覚が旅行者にも浸透していると思いますね」

「日本流焼肉」発祥の地はミナミ説が有力

現在のタレを使用する焼肉スタイルの発祥は、1946年のミナミの「食道園」という説が有力だ。それ以前の韓国式は、厨房で調理したものを提供するというものであったが、部位ごとにタレを使い分けて味付けをするというスタイルを同社がスタートさせた。その試みは瞬く間に評判を呼んだ。無煙ロースターのメーカーとして国内シェアをNo.1を誇る「シンポ株式会社」とも共同研究を行っている。

「大阪は全国的にも、焼肉店の絶対数が多い。背景としては、焼肉文化と関係が深いコリアンタウンである鶴橋の存在も大きい。もともと焼肉=男の食べ物という認識が昔はあったかもれませんが、少しずつ女性やファミリー層にも受け入れられて年々”進化“してきました」 (食道園・広報担当者)

また、日本人客の水準をキープしつつも、外国人客が増加していることが、エリア全体での売り上げ増につながっているという。

「数年前のBSEや食中毒問題で、日本人のお客様が焼肉業態から離れていった。ミナミに限らず、業界全体が甚大なダメージを受けました。ただ、現在は昔の水準に戻ってきたと感じています。加えて訪日外国人の増加が、従来の日本人の売り上げにそのまま上乗せされているのが現状です」(前出・広報担当)

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