成田アクセス争奪戦、新線、新型車両を投入《鉄道進化論》
都心までわずか36分。「遠い空港」が一気に身近になる。京成電鉄は5月、成田空港アクセス用特急スカイライナーの新型車両を公開した(写真)。2010年度中に開業予定の成田新高速鉄道で投入する。一方、JR東日本の成田エクスプレス(NEX)も今秋から新型車両が登場する。
京成の新型車両は在来線では最速となる最高時速160キロで走る。1時間最大3本と現行と同様の運行だが、日暮里駅を出ると空港第2ビル駅までノンストップだ。空港駅ホームではNEXと隣り合わせとなるため、「見劣りせず、斬新でかつ速い印象を持ってもらうデザインにこだわった」(京成電鉄成田新高速鉄道推進担当課長・清水圭介氏)。
速さとともに、安さもスカイライナーの売りだ。現在、日暮里-成田空港間では1920円(全席指定)。一方、NEXは東京からだと2940円。新線でかつ途中北総線を経由するため、「料金は未定」(京成)とするが、新スカイライナーでもNEXやリムジンバスとの価格差を意識した料金設定になりそうだ。
というのも、現状の利用客ではNEXに水をあけられている。成田空港会社の調査によれば、成田空港利用者(日本人)のうち、NEX利用者が13%に対し、スカイライナーは9%と劣勢だ。特急以外を含めると京成がJR東日本を上回るが、新型投入で空港アクセスの顔である特急列車でも首位を狙いたいところだ。なお、新スカイライナー導入で、京成本線を走る現スカイライナーは消える見通し。
攻勢を強める京成だが、JR東日本に対しては「鉄道ネットワークとして共闘したい」(清水氏)という。現在4割である鉄道利用客のパイを奪い合うのではなく、真の競争相手であるリムジンバスへの対抗策で連携すべきとの意味だ。