東京医大で不祥事が続発、臼井学長の進退に波及も
「正義・友愛・奉仕」を校是に掲げる東京医科大学で、ここ数年、信じがたい不祥事が相次いでいる。今年2月、医学博士号の取得をめぐる現金の授受が朝日新聞のスクープで明るみに出た。また、審査にかかわった35人の教授とともに、臼井正彦学長が昨年10月の学長就任以前に医局員から謝礼を受け取っていた事実も判明した。
だが驚くべきことに、臼井学長は学位謝礼金問題で責任を問われなかった。「学位審査の透明化を求め(昨年3月の)文部科学省の通知を学内に伝達することを怠ったとして、当時学長代理だった教授が1カ月の減俸処分を受けただけで、幕引きとなった」(東京医大関係者)。
謝礼の件では不問に付された臼井学長だが、眼科学主任教授時代の2006年、“ファミリービジネス”を問題視されている。
当時、臼井氏は教授会で学長予定者に選任されていたが、学外での兼職問題が発覚。東京医大では教職員による営利企業の役員兼職を禁止しているにもかかわらず、実母や妻、子息らとともに「有限会社オフタルモサイエンス」を1985年に設立し、同社(06年に解散)の役員を務めていた。また現役教授時代に医局員を派遣していた10の病院に対し、同社を経由して眼内レンズを販売したうえで、14年間にわたり総額2億円以上の手数料を受け取っていた。
この問題では学内に調査委員会が設置され、兼職や医師派遣など違反行為の有無について検証が行われた。そして06年6月に出された内部調査報告書では、ファミリー企業の役員としての業務が、主任教授として利益誘導の疑惑を持たれるおそれのある不適切なものであったと結論づけたとされている。