『あたりまえのことをバカになってちゃんとやる』を書いた小宮一慶氏(小宮コンサルタンツ代表)に聞く
--読みやすくもあります。
専門のライターが口述筆記を取ってまとめた。こういった感覚の本は書くよりしゃべったほうがうまく表現できる。僕がやるよりうまくまとめるので任せた。
編集の仕上げ方も独特だった。編集者が2時間の面談のために8回来た。普通はこのページ数の本なら計4~5時間で済む。2人の編集者が来て、ずっとノートを取りながら聞き、そして最後の回だけにライターの人が来た。
--このほか執筆依頼は多い。
提案はたくさんくる。しかし、たくさん刷りますから、売れた本の二番煎じを作ったのでは、著者も出版社もだめになる。出版社はいまや余裕がないから、売れた人をつかまえて似たような本を出してくれないかと提案する。
僕の場合は、僕しか書けないもの、僕自身の本に類書がないものを条件にしている。それで提案を持ってきてもらえるなら見ますよと言っている。だが、オリジナル性のあるものは少ない。
--いまや読みやすい、が本の決め手ですか。
速読を自慢している人がいる。月100冊読んだとか。しかし、月100テレビ番組を見たと自慢している人はいない。「テレビのように読める本」って何と言いたい。読みやすさは大事だが内容の軽い本は好きではない。
そもそも軽い人が軽い本を書いて売れているのが今の時代ではないか。書き手が勉強していない。勉強本というものもいくつも出ているが、著者でその勉強を生かして成功している人はそれほどいない。本が売れている人は著作がもっぱら本業となっている。投資本を書いている人のほとんどが実際には投資してないのと同じだ。自分が目下勉強中のことを書いているものも少なくない。