『あたりまえのことをバカになってちゃんとやる』を書いた小宮一慶氏(小宮コンサルタンツ代表)に聞く
--前著とは文体が違います。
正直言うと、バージョンアップの前の版は、初版4000部刷ってまだ増刷したと聞いていない。その本について、編集者からこう言われたことがある。「小宮さんは、話は面白いけど、本は実は面白くない」と。その一言が僕を変えた。それから読みやすさを学んだ。それが「○○力養成講座」シリーズの第1作、『発見力養成講座』の17万部への大変身に結びついたと思っている。
--長いくだけたタイトルの『あたりまえのことをバカになってちゃんとやる』も、内容は「原理原則」に立ち戻ることを勧めています。
出版社がトレンドを先読みして提案してきた。人生の本を書いてくださいと。来たのはリーマンショックの前だった。実はこのとき、もう一社、同じく人生の本を提案してきたところがあった。ちょっと時間がかかっているが、『私を変えた50の名言』(仮題)といったタイトルで結実するはずだ。
僕も当時、これから必要になるのは、「指針と夢」だと言っていたので、すぐに取り組んだ。
ただし、『あたりまえの~』の場合は、いままで付き合ってきた出版社とはプロモーションに対する力の入れ方が違う。本を売るというより、育てようとする。いままだ7万部だが、プロモーションで20万部までいかせると言っていた。
本の専門のプロモーション会社を使うにしても、おカネのかけ方がすごく違う感じがする。すでに全国紙に広告を10回以上出している。さらに1週間かけて北から南まで全地方紙に広告を出した。この本だけでなく、3冊を主力商品に育て上げようと同時掲載している。売れる芽があったら、プロモーションいかんで売れ行きはだいぶ違う。