いまダイバーシティ経営にどう取り組むか--谷本寛治・一橋大学大学院商学研究科教授

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 もう一つは、雇用、人材活用面の指標において、まさに人を活かす、働きやすいという観点から優位性があるかどうか。それからダイバーシティへの具体的な施策の内容・進捗度が、ユニークで、かつ先進的なものであるということです。

今回受賞されました企業さまに対する選考理由は『週刊東洋経済5月23日号』等で公表しましたが、改めて簡単に振り返っておきたいと思います。

まず「大賞」を受賞されたパナソニック電工株式会社さまでありますけれども、女性、障がい者、外国人の三つを柱としてダイバーシティ経営に取り組んでおられます。会社としての考え方、仕組み、目標という点で非常に明確であると審査委員は感じ取りました。特筆されるのは、ダイバーシティ経営を実践していくために、仕事のあり方そのものを見直そうという姿勢です。そのことがまさに会社全体の成長につながっていくのだというところを、私たちは評価したいと考えました。
 
 各「部門賞」についても言えることですが、産業分野によって、取り組みの進捗度合いや適否がかなり違う場合がある。ですから、単純に数字だけを比べて多い少ないということだけではなくて、広くバランスの中で見ていきたいと考えました。パナソニック電工さまに関しても、数字だけ見れば、ほかに実績のある企業はあるかもしれませんが、これまでの取り組み姿勢やプロセスは、ダイバーシティを進めていこうとすることにおいて他社のお手本になるということで、大賞に決まりました。

次に、仕事と家庭生活の両立を推進するという「ワークライフバランス部門賞」。受賞された株式会社資生堂さまは女性社員が多い会社であり、女性が働きやすい制度をこれまでさまざまなかたちで導入され、成果を上げてこられたことが、高く評価されました。今後はグローバルな展開が行なわれる中で、ワークライフバランスに関して男性社員を含めた取り組みの一層の進展を私たちは期待しています。

それから「女性管理職登用部門賞」。帝人株式会社さまは、長いご努力の中で、女性をダイバーシティの重点目標として地道に進めてこられた取り組みとその成果が、こうした業界であるだけに、同賞にふさわしいと高く評価されました。

また日本アイ・ビー・エム株式会社さまは、長年にわたり、女性活用の組織的な取り組み制度を構築され、実績を上げてこられたという点で、他社と比較すると抜きん出ておられ、同賞の受賞にふさわしいということになりました。

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