補正予算で厚遇されるテレビの地デジ化、2年後にはタダでテレビを配る?
補正予算の最大の目玉として関心が高いエコポイント制度。対象製品の一つになっているデジタルテレビに関しては、2011年7月に控えた、地上デジタル放送(地デジ)完全移行に向けた対応受信機の普及策を兼ねている。
エアコンや冷蔵庫のポイントが価格のおよそ5%であるのに対し、デジタルテレビは倍の10%。総務省が5%の上乗せ分に当たる750億円を補正予算で計上しているためだ。経済産業省と環境省のポイント分、リサイクルのための予算も含めると、テレビ購入支援の総額は1950億円にもなる(下表参照)。
地デジ普及促進へ 急拡大する予算
テレビに巨額の補正予算がついた背景には、昨年の夏以降、薄型テレビやチューナーなど地デジ対応受信機の世帯普及が、計画を下回っていることが挙げられる。
今年3月に総務省が実施した「地上デジタルテレビ放送に関する浸透度調査」では、地デジ対応受信機の世帯普及率は60・7%(約3000万世帯)。昨年12月に総務省が公表したデジタル放送推進のための行動計画(第9次)」で掲げた3月末の目標普及率62%(約3100万世帯)に達しなかった。そこで総務省は、経産省、環境省が練っていたエコポイント制度に相乗り。普及拡大の起爆剤として期待したのだ。
地デジ関連の補正予算は、エコポイントにとどまらない。下表にはないが、学校や公立病院、官公庁など公共施設のデジタルテレビ購入額(約1500億円)まで含めれば、地デジ関連の補正総額は約3600億円に上る(総務省予算のみでは900億円)。本予算を合わせると4200億円。文字どおりの“大盤振る舞い”といえるだろう。
地デジ普及に取り組む放送の業界団体の一つである日本民間放送連盟の大寺廣幸デジタル推進部長は「今回の補正予算は、特に地デジ対応受信機の普及に大きな追い風になる」と評価する。だが、地デジ移行支援に、これだけの巨額の補正予算を計上する必要があるのだろうか。中身を精査していくと、首をかしげたくなるものがいくつもある。