最高益のラオックス、心配は"爆買い"の変調 絶好調決算から一転、今年は減益予想のなぜ

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ただ、株価は冴えない。2月12日の終値は150円だったが、決算発表を受けて26日の終値では129円まで下落。2015年7月の最高値564円から下落トレンドが続いている。

上振れの余地がある数値とはいえ、利益水準が前期比5倍近くに達するとは考えがたい。訪日中国人客は、昨年夏頃から、親戚に配る炊飯器を2個、3個買うよりも、自分用の理美容家電や化粧品を買うなど、消費動向に変化が見られる。羅社長も「単価が下がっていることは確か」と認めている。

羅社長は「単価が下がることで、売り上げを作るには(今までの2)倍の努力をしなければならい」という。これまでは旅行会社に報奨金を支払って、中国人の団体旅行客を連れてくる方法をとっていたが、今後は個人客や台湾人など幅広い客層も狙っていく。

小売り以外の業界への進出を拡大

2014年10月、東洋経済の取材に応じる羅怡文(ら・いぶん)社長(撮影:尾形文繁)

ラオックスは2009年、業績悪化を背景に中国の小売り大手の傘下に入った。その後、家電量販店から総合免税店に転換。2014年12月期には14年ぶりに営業益が黒字化した。

2015年は、オンワードと日本製にこだわった衣料品の企画、生産、販売を手掛ける合弁会社を設立、婦人靴会社の買収、ショッピングモール運営会社への出資している。飲食事業への参入を視野に入れており、今後も小売り以外の業界へ拡大を進める方針だ。

ただ、昨年9月には大阪道頓堀店で、アルバイトとして採用していた中国人留学生が法定就労時間を大幅に超過していたことが発覚した。

急激な拡大を遂げる中で、内部の管理体制が追いつかず、今後もひずみとなって表に出てくるかもしれない。成長と内部統制のバランスをいかに取っていくかが今後の課題だろう。

富田 頌子 東洋経済 記者

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とみた しょうこ / Shoko Tomita

銀行を経て2014年東洋経済新報社入社。電機・家電量販店業界の担当記者や『週刊東洋経済』編集部を経験した後、「東洋経済オンライン」編集部へ。

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