《財務・会計講座》ファイナンス理論と株式投資~ファイナンス理論をマスターすると株で儲けられるか~

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■理論上は「果報は寝て待て」

 このことは、年間の平均収益率が期待収益率に収斂するだけの十分に長い期間、投資を継続できるのであれば、リスクの高い、したがって利回りの高い資産ほど、累積ベースでの投資利回りは高くなるということを示している。反対に、リスクの高い(年間の利回りの変動幅が大きい)資産ほど、短期投資は危険であるといえる。

 株式投資には余裕資金を充当し、極端なことを言えば、一旦投資したら忘れてしまい、新聞の株価欄は見ないようにすることが株式投資の秘訣で、果報は寝て待てということである。

 ただし、ここで上述のファイナンス理論の前提条件に若干の問題があることに言及せねばならない。ファイナンス理論では、リスク性資産の年間投資収益率の分布は正規分布になると想定している。しかしながら、実際には100年に一度といわれる金融危機や経済危機がもっと高い頻度で発生しているように、実際の発生確率分布はベキ(ベイシアン)分布といって一方方向に裾の長い分布となっている。株価に関しても極端な株価上昇は少ないが、大幅な株価下落は結構な頻度で起こっていることがそれを証明している。

 現在の株価水準は28年前の水準でしかなく、28年前に日経225に投資したと仮定すると28年間のリターンはゼロとなる。100年に一回の未曽有の金融・経済危機を恐れて株式投資をやめるというのも手ではあるが、それでも、株式以外のリスク性資産(一例を挙げれば、金のようにできるだけ株式市場とは同じようには反応しない資産)も投資対象に含め、そして地域的には日本だけでなく国際的に分散投資するほうが賢明であろう。


《プロフィール》
斎藤忠久(さいとう・ただひさ)
東京外国語大学英米語学科(国際関係専修)卒業後フランス・リヨン大学経済学部留学、シカゴ大学にてMBA(High Honors)修了。
株式会社富士銀行(現在の株式会社みずほフィナンシャルグループ)を経て、株式会社富士ナショナルシティ・コンサルティング(現在のみずほ総合研究所株式会社)に出向、マーケティングおよび戦略コンサルティングに従事。
その後、ナカミチ株式会社にて経営企画、海外営業、営業業務、経理・財務等々の幅広い業務分野を担当、取締役経理部長兼経営企画室長を経て米国持ち株子会社にて副社長兼CFOを歴任。
その後、米国通信系のベンチャー企業であるパケットビデオ社で国際財務担当上級副社長として日本法人の設立・立上、日本法人の代表取締役社長を務めた後、エンターテインメント系コンテンツのベンチャー企業である株式会社アットマークの専務取締役を経て、現在株式会社エムティーアイ(JASDAQ上場)取締役兼執行役員専務コーポレート・サービス本部長。
◆この記事は、「GLOBIS.JP」に2009年7月1日に掲載された記事を、東洋経済オンラインの読者向けに再構成したものです。
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