今も日本株を売り続ける海外投資家の視点 彼らの「投資アイデア」はどう変わってきたか

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海外の長期投資家は2016年に入ってからも日本株を売り続けていますし、現時点(2月22日時点)でも戻り待ちの売り圧力が強い状況にあるといえるでしょう。彼らをよりいっそう身構えさせているのは、売りを判断する投資アイデアとして、新たに「欧州の金融システム不安」が再燃してきているということです。これは決してドイツ銀行の債券問題に矮小化されるべき問題ではなく、欧州の銀行全体の不良債権の問題が底流にあるということを認識しなければなりません。

なぜ今さら不良債権の問題が浮上してきたのかというと、欧州の中央銀行のマイナス金利政策が銀行の収益基盤を脆弱なものとし、イタリアの銀行を中心に不良債権の減少が止まってしまったという傾向が顕在化してきているからです。中国経済の減速リスクに加えて、欧州の金融リスクまでもが表面化した今となっては、海外投資家のなかで積極的に動くことができるのは、売りと買いを組み合わせるヘッジファンドなどの短期筋しかいないのではないでしょうか。

1万6000円を下回る局面では「買ってもいい」

ただし、2015年中にポジションを手仕舞った欧米の長期投資家のなかには、米国株よりも日本株のほうが有望であると見ている向きが多く、1万6000円を下回る局面では日本株を買ってもいいと考えている投資家が少なからずいるという事実があります。当然のことながら、以前のように日経平均株価やTOPIXといった指数全体を買うというよりは、個別銘柄の内容を吟味したうえで買ってくる傾向が鮮明になってくるだろうと予想することができます。

欧米投資家が各々どのような視点で銘柄を選別していくのかはわかりかねますが、個人的には「株主還元が薄い銘柄(低ROE銘柄)」「業績が株価に反映されていない銘柄」「円高が利益になる銘柄」などに妙味があるのではないかと考えております。

なお、2016年の投資戦略についてはブログ『経済を読む』で紹介している部分もありますし、銘柄の選別方法の一例については2月29日発売の『超速報!「会社四季報」春号で見つけた先取りお宝株』でも述べていますので、興味がございましたらご覧いただければと思っております。

中原 圭介 経営コンサルタント、経済アナリスト

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なかはら けいすけ / Keisuke Nakahara

経営・金融のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」の経営アドバイザー・経済アナリストとして活動。「総合科学研究機構」の特任研究員も兼ねる。企業・金融機関への助言・提案を行う傍ら、執筆・セミナーなどで経営教育・経済教育の普及に努めている。経済や経営だけでなく、歴史や哲学、自然科学など、幅広い視点から経済や消費の動向を分析しており、その予測の正確さには定評がある。「もっとも予測が当たる経済アナリスト」として評価が高く、ファンも多い。
主な著書に『AI×人口減少』『これから日本で起こること』(ともに東洋経済新報社)、『日本の国難』『お金の神様』(ともに講談社)、『ビジネスで使える経済予測入門』『シェール革命後の世界勢力図』(ともにダイヤモンド社)などがある。東洋経済オンラインで『中原圭介の未来予想図』、マネー現代で『経済ニュースの正しい読み方』、ヤフーで『経済の視点から日本の将来を考える』を好評連載中。公式サイトはこちら

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