総合電機は今後1~2年の業績見通し厳しい、財務耐久力の維持が不可欠《スタンダード&プアーズの業界展望》

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 各社とも、年初来、急速な事業環境の悪化を踏まえて、工場や設備、人件費などの固定費の削減を進め、損益分岐点を引き下げることを積極的に進めている。また、マイコンやシステムLSI、HDDなどの事業では、再編の動きが加速している。しかし、国内外の広範な分野での事業環境の回復には1~2年かかるとスタンダード&プアーズは見ており、各社の格付けには、引き続き強い下方圧力が続くと見ている。


図:国内総合電機各社の主要な財務指標
(左図:営業キャッシュフロー(運転資金の増減調整前)/ ネット有利子負債、右図:ネット有利子負債/(ネット有利子負債+純資産)

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中期的には、景気サイクルの影響を受ける半導体や個人消費の動向に大きく依存するHDD、デジタル家電、携帯電話などから、社会インフラ、サービス、メンテナンスなど相対的に安定的した利益を確保できる事業への事業ポートフォリオの見直しが不可避となると見ている。日立製作所や東芝など、総合電機各社は極めて多様な事業ポートフォリオを持つことによって、全社収益を下支えしてきたが、半導体、薄型テレビ、自動車関連など広範な分野で厳しい事業環境が続くなか、この強みは相殺される傾向にある。

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