消費税の軽減税率適用を、あいまいな形で行うことは絶対に許されない税務当局からすれば、明確な基準を設けて白黒はっきりさせなければならない。法的に根拠を持ちながら、軽減税率の線引きを明確にするための作業が、今年の年初から続けられてきた。その一端が、国会答弁で明らかにされた。
元をたどれば、筆者を始め多くの経済学者は、軽減税率制度より簡素な給付措置の方が、低所得者対策としてより有効であると主張し続けていた。しかし、昨年末、当時の大手紙の世論調査で軽減税率制度に多くの賛意が寄せられたなどを背景に、自民党と公明党は軽減税率制度の導入を決めた。この顛末は、東洋経済オンラインの本連載の拙稿「軽減税率導入は消費増税再先送りの引き金か 税制を政権維持の玩具にしてはならない」に記している。
「外食」をどう定義したか
読者にとって、前掲の事例に対する軽減税率の適否は、苦笑するようなクイズであっても、税務当局にとっては、徴税業務上、何が何でも線引きして明確なルールを設けなければならない立場である。
まず、軽減税率が適用される飲食料品は、食品表示法に規定する食品(酒税法に規定する酒類を除く)と、厳密に定義されている。飲食料品の定義は良いとしても、「外食」は標準税率と決めたため、その線引きが厄介な問題となった。「外食」も軽減税率が適用されるなら、前掲のクイズの答えは迷いなくすべて軽減税率だった。これは、元をたどると、軽減税率導入を検討する過程で、高級料亭での飲食も軽減税率が適用されては、低所得者対策にならないとして公明党が「外食」を適用から除外するよう要求して合意したことに起因する。
では、軽減税率が適用されない「外食」をどう定義したか。それは、取引の場所と態様(サービスの提供と言えるか)に着目した定義である。つまり、食品衛生法上の飲食店営業などで、テーブル、いす等を設けて飲食させるための設備を置いた場所で、食事を提供することを、「外食」と定義した。要するに、飲食を提供する場所を指定して飲食する場合、「外食」となる。ただし、学校給食や老人ホームでの食事は、生活を営む場で他の形態で食事をとることが困難なため、軽減税率の対象とする。
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