「鉄道文字」の奥深い世界を知っていますか JRの中に今も「国鉄書体」が息づいていた
以前より表記する内容が広がったこともあり、製品化されている新ゴは文字数が圧倒的に多く、汎用性も高い。でも、それだけではありません。
メトロも新ゴを使っていますが、採用にあたっては従来のゴシック4550を含む複数の書体とどちらが見やすいかテストをして、その結果、新ゴのほうが見やすいという結論になったようです。
リニア開業後の書体はどうなる?
――新ゴは、写植を使えばどこでも同じ文字になります。スミ丸ゴシックは誰でも同じように書けるのですか。
「こう書きましょう」という書き方のお手本が、五十音、ひらがなですべてに用意されました。お手本を見れば、ある程度同じように書けると思います。
それ以前の丸ゴシックは、国鉄の規程集に文言はありましたが、お手本がなかった。これではバラバラになってしまっても仕方がないです。
ただ、スミ丸ゴシックも手書きゆえに、規程集を見て書いても職人さんによって書体が微妙に違います。
JR東海初代社長の須田寛さんは、国鉄時代から手掛けていた新陽社の協力会社であるエムエスアートの佐野稔さんが電気掲示器(駅名や行き先等を記し、内側から照明をあてて表示する案内掲示器)のために書かれた書体に、思い入れがあったようです。
スミ丸ゴシックの掲載された規程集を読むと、「文字の端部は太くせずに平均した太さで引く」といった指示が書いてあります。須田さんは「新陽社の職人さんの文字には、ひらがな本来の勢いが残っている」とおっしゃっています。
――JR東海が今後リニア新幹線を走らせるようになると、駅名の書体はどう変わるのでしょうか。
私もすごく気になります。スピードが速くて、外を見て駅名を確認するという次元ではありませんよね。むしろ、車内に表示される文字情報のほうが重要になってくると思います。ホームはリニアのイメージに合わせて新ゴのようなカッチリとした書体になるのかもしれませんが、逆に明朝体もアリかもしれません。
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