「鉄道文字」の奥深い世界を知っていますか JRの中に今も「国鉄書体」が息づいていた

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国鉄時代の丸ゴシックは手書きゆえに多くの字形が見られ、書体統一を急ぐきっかけとなった
駅名や行き先表示、乗り場案内に注意書き――。駅で見かける文字は、新聞や雑誌で使われているものとは少し違う。古い駅では国鉄時代の書体が今も使われていることがあり、これが懐かしさを感じさせる一因となっている。
国鉄は1987年に分割民営化されたが、その後、JR各社の中には「国鉄書体」を継承した会社もある。鉄道会社の書体について徹底的に調べた『されど鉄道文字――駅名標から広がる世界』の著者・中西あきこさんに、鉄道書体の歴史や特徴について話を聞いた。

何気なく見ていた文字に名前があった

――鉄道文字を研究しようと思ったきっかけは?

子供の頃から書道が好きだったんです。それに加えて、路上観察も好きでした。歩いていると看板の文字が気になり、フォントや手書きの気になる文字をカメラで撮影して収集していました。その延長で駅や電車の車内を見渡していると、普通のフォントとはどこか違う文字がある。

東京メトロのサインはフォントメーカー大手のモリサワが開発した「新ゴ」ですが、銀座線や丸ノ内線のように古くからある路線は明朝体がまだ一部で使われていた。「こういうものはほかにもあるのかな」と思って調べてみたら、結構残っていました。

そのうちに、メトロの前身の営団地下鉄時代に作られた「ゴシック4550」という書体があるということを知りました。普段何気なく見ていた文字に名前があること自体、驚きでした。

名前があるということは、それを考えた人の設計意図や理念があるのではないか。これを探っていくと何かが広がるかもしれないと思うようになって、そこから調べ始めたということです。

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