なぜ人は「性格分類」に翻弄されてしまうのか 「図星!」と思い込むのにはワケがある

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そもそも人の「性格」というのは、単純に一つのタイプに分類できるようなものではなく、さまざまな要素を複合的に有しています。つまり、一人の人間があらゆる性格をたくさん持っていると言えます。そのため、誰にでも当てはまることを言われた際、あたかも自分のことをピンポイントに言い当てられているような気持ちになってしまうのです。

この現象にはちゃんと名前があり、「バーナム効果」と言います。「前向きに振る舞っていても、心の中で不安を抱えている」とか、「好きなことはとことん突き詰めるが、興味のないことはどうでもいい」とか、心理テストや占いのページで見たことがありませんか? よく考えてみれば、これらは大抵の人に該当するであろうことなのです。

実際「当たっている」と感じるときは、ほとんどがこの現象によるものと言われており、一般的で曖昧な記述が並んだ診断結果の中でも、特に自分に当てはまるもののみが強く印象に残ります。その結果、「よく当たっている」と思い込んでしまう傾向が生まれます。

断定してもらうことで得られる「安心感」

人がこうなってしまう要因は、「自分とは何か」「人からどう見られているのか」という、自分の存在を明確に理解したい心理にあります。

人間の気持ちというものは、自分でも正確に理解することが難しく、しかも絶えず変化をし続けています。どこに自分の本質があるのかは、自分自身が把握するのも難しく、外部から「あなたって○○な人ね!」と断定してもらうことで、安心感を得ることができます。

そういうわけで、バーナム効果は異性にモテるため「モテテク」としてもよく紹介されますし、テレビ番組に引っ張りだこのマツコ・デラックスさんも、(意識してか、せずか)会話の中でこの方法を使用しています。

ちなみに、相手に権威があったり、自分が信頼している相手の場合は、いっそう安心感や納得感を深めやすくなります。また、精神的に弱っているとき、迷っているときなどは、「あなたって○○な人ね!」という言葉は、普段よりぐっと胸に響いてきます。

良くも悪くも、「自分は○○の傾向があったからダメだったんだ……」「自分は○○に強いから大丈夫!」と、自分自身を納得させる根拠を得たい、というニーズに合致するからでしょう。

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