ビール商戦に大異変! 泡立つ“家飲み”需要
最盛期を迎えたビール商戦に異変が起きている。ビールの総需要が落ち込む中、第3のビールだけが猛烈な勢いで伸びているのだ。
躍進を後押しするのは、不況による「内食回帰」の流れ。仕事帰りに外で飲むより、家で晩酌する人が増えている。節約志向を強める消費者は、おのずと安価な第3のビールに手が伸びる。スーパーでも「3月以降、第3のビールの売り上げは3割増ペースで伸びている。売り場面積も増やした」(イトーヨーカ堂)。
最も税率の低い第3のビールは、ビールと比べて75円、発泡酒と比べても20円安い(350ミリリットル缶換算)。2005年以降、ビールメーカーは積極的に新製品を投入しており、市場は右肩上がりが続く。今年もビール各社は伸長を見込んでいたが、「予想以上に伸びている」(アサヒビールの荻田伍(ひとし)社長)。
この結果、1~5月の出荷数量は、ビールと発泡酒が前年同月比7・0%、同14・3%とそれぞれ大幅に落ち込む一方、第3のビールだけは同26・3%増と急伸。まさにわが世の春を謳歌している。
過熱する新製品合戦
唯一、売り上げを伸ばしている第3のビールは、メーカー各社にとって“希望の星”。ここぞとばかりに新製品投入が相次いでおり、熾烈なシェア争いの場と化している。