ビール商戦に大異変! 泡立つ“家飲み”需要

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 現在、第3のビールではキリンの「のどごし〈生〉」がシェアトップを独走するが、毎月2ケタ増ペースで市場は伸びており、まだ勝負はついていないというのがライバルたちの見方。不況と相まって消費者が続々と第3のビールへ流れる中、「(細分化する)ニーズに対応する製品を出していくしかない」(アサヒの池田史郎マーケティング本部長)というのが本音だ。

今年2月にはアサヒビールが新製品「オフ」を発売したばかりだが、9月に「麦搾り」を投入する。サントリーは4月に「ザ・ストレート」を、キリンビールも6月末に「コクの時間」を発売する。

これまで第3のビールは麦芽や大豆など原料の違いで差別化してきたが、今年は味や機能性の細分化が進む。たとえば「オフ」は糖質・プリン体を抑えて機能性を訴求し、「コクの時間」や「麦搾り」では、コクを重視したビールに近い味を売りにする。矢継ぎ早の攻勢に「数年前の新製品濫発を思い出す」(業界関係者)との声も聞かれる。

しかしライバルは、ビールだけにとどまらない。サントリーのウイスキー「角瓶」は、1~5月の売り上げが前年同期比12%アップ。このままいけばウイスキーは、実に11年ぶりに増加に転じる勢いだ。昨年9月から飲食店向けに、炭酸で割った「ハイボール」の取り扱いを倍増させたことも影響しているが、不況が思わぬ追い風となっているという。

「角瓶1本で23杯分飲めて、炭酸水で割っても一杯100円程度」(ウイスキー事業部の田中嗣浩氏)と値頃感が受けている。6月からコンビニ向けに角瓶と炭酸水、ジョッキがセットになった「角ハイボールセット」を投入するなど、「家飲み」需要のさらなる取り込みを図る。

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