iPhoneの「残念な音質」は劇的に改善できる モバイルビデオグラファー必携のツール

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iPhoneには2つのカメラが取り付けられており、音声記録の際に人の声とノイズを聞き分ける賢さがある。しかし、ステレオ記録には対応していない。そのため、大迫力の自然や、ステージのパフォーマンスにつきものの「拡がりのある音」の迫力を、録り逃していることになる。

そこで周辺機器を活用したい。外部マイクは数多く販売されているがIK MultimediaからリリースされているiRig Mic Fieldがおすすめだ。マッチ箱程の大きさの本体をiPhoneに直接接続すると、自動的に認識され、iRig Mic Fieldの音声が記録されるようになる。

低ノイズで高音質

低ノイズで高音質の音声記録が可能な「iRig Mic Field」(写真をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

iRig Mic Fieldには指向性を持つコンデンサーマイクが2つ内蔵されており、拡がりのある音声記録ができる。デジタル接続であることから、低ノイズと高音質の両立もできている。ポイントはゲインコントロールのダイアルが本体に搭載されており、簡易的に音量の具合をLEDの色で確かめられる点だ。

たとえば音量の大きなライブや楽器演奏、街の雑踏などを収録する場合はゲインを絞り、静かな山間の風景で鳥の鳴き声を撮りたい場合には、ゲインを上げることで、収録したい音を意図通りに記録できる。

iRig Mic Fieldで優れている点は、マイク部分にモニター用のヘッドフォン端子を内蔵した点だ。

iPhoneに付属するイヤホンも含め、iPhone向けのイヤホンには通話用のマイクが内蔵されており、これをiPhoneのイヤホン端子に差し込むと、Lightning接続のマイクよりも、イヤホン内蔵のマイクが優先されてしまう仕様となっている。そのため、Lightningマイクを差し込んでモニターしたい場合は、旧来のマイク非搭載のイヤホンを使う必要があった。

iRig Mic Fieldの場合は、iPhone本体のイヤホン端子を使わず、マイクに直接イヤホンを差し込んで音を確認できるため、普段使っているマイク内蔵のイヤホンをそのままモニタ用に利用できる。

iRig Mic Fieldは、Lightning端子部分を固定して、本体を90度回転できる。つまり、iPhoneを横長に構えてビデオ撮影を行う場合だけでなく、縦長に構えての動画撮影や、音声のみの収録の際にも、ステレオの左右をきちんと合わせて収録できる。ちょっとした工夫だが、正しく音声を記録できるようにする配慮がうれしい。

なお発売元からはボイスレコーダーとして利用できるアプリ「iRig Recorder」がリリースされている。このアプリからは、マイクの入力と出力をデジタル画面から調整できる。ビデオ撮影する際にも、あらかじめ、このアプリで最適な音量を調整してから収録に臨むといいだろう。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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