中国国防費、景気減速でも2ケタ増を継続 抜本改革に対する軍の不満沈静化図る狙いも
中国は今年の国防費を引き続き大幅に増やす公算が大きい。抜本的な改革に対する軍の不満の沈静化を図る必要があるのに加え、南シナ海と台湾をめぐる問題への懸念が高まっているからだ。
昨年の国防予算は10.1%増と、鈍化して1ケタ台となっている国内総生産(GDP)の伸びを上回った。そして今回も、3月に開かれる形式的な議会で2ケタ台の増額が発表される見込みだ。
軍内部では30%増額も議論
軍とつながりを持ち、定期的に幹部と会合を行っている情報筋の1人が匿名を条件にロイターに語ったところでは、軍内部では今年の支出を30%増やす議論もなされてきた。ただ、実際のところ、そこまで急激な伸びは考えにくいという。
東シナ海や南シナ海でますます強硬な姿勢を見せている中国の習近平主席は、30万人削減を通じて中国軍の近代化を進める方針だ。しかし、改革は兵士の反対にあい、将校は雇用が保障されるか不安を抱いている。この情報筋は、「下士官が多大な不満や疑念を持っている」ため、習主席は兵士や将校を味方につける必要があると指摘した。
中国国防省は、今年の国防費増額に当たってどのような要因を考慮するのかとの質問に対し、コメントを避けた。
軍のある関係者は先月、兵士の一部が改革について「戸惑い、迷子になっている」とコメント。また、人民日報に今月掲載された論説は兵士たちに対し、自分たちの仕事がどうなるか考えすぎずに、党への忠誠を守ることに集中するよう呼びかけた。
北京を拠点に中国軍をウオッチしている西側の外交官は「30万人の行き先に関する情報は何もない。国有企業が彼らを雇うのだろうか」と語る。