話題のOOH広告って何? 場所や建物が最先端の広告に《広告サバイバル》 

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 広告業界で最近注目を集めるのが「OOH」だ。Out Of Houseの略で、交通広告や屋外広告を含む家の外の広告全般を指す。商品購買の直前に接触する広告が購買行動に影響を与えるというリーセンシー効果が高いのもOOHの特徴。一見、昔から存在する広告だが、イノベーションとも呼べる進化が目白押しだ。

今年4月、首都圏のJR駅構内に、パナソニックの掃除機の実物を置いた「オブジェ広告」が出現した。パナソニックは、新宿など7駅では映像モニターを組み合わせて商品特性を訴求。さらに駅構内や電車内のポスター、前ページで紹介したトレインチャンネルなどでも同時に広告展開した。

交通広告最大手、JR東日本企画の古川義夫企画部長は「駅の空間は媒体に柔軟性があり、企画次第で広告が話題になりやすい」と交通広告の魅力を語る。立体的に掲出する広告はまだ目新しく、企画的な広告そのものが話題にもなる。広告主にとっては、ユニークな広告としてニュースに取り上げられ、認知度アップも狙うことができる。

JR東日本企画の新たな取り組みはほかにもある。非接触型ICカードの「Suica」や「PASMO」などを駅構内の広告ポスターにかざすと、手持ちの携帯電話を広告主のモバイルサイトなどへ誘導する「SuiPo」(スイポ)を展開。当初は事前に利用者のメールアドレス登録などが必要だったが、今年3月、渋谷駅に登場したマックスアンドコージャパンの広告ポスターでは、非接触型ICカード搭載の携帯電話をタッチするだけでモバイルサイトにアクセスできる「SuiPo nano」を新登場させた。

最近は“同媒体他社”とのタイアップにも積極的だ。2008年12月、JR東日本28駅と東京メトロ30駅に三井不動産、テレビ朝日、アミューズが広告主の「年頭祝賀広告」が掲出された。広告に共通メッセージを入れて統一感を出した。タイアップについては、「他電鉄よりも他メディアとの戦い。交通広告媒体全体をパワーアップさせたい」(古川氏)と、全体の裾野拡大が狙いだ。

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