話題のOOH広告って何? 場所や建物が最先端の広告に《広告サバイバル》
目下、広告不況のあおりを受け、JR東日本企画も電車内の中吊り広告などでは、雑誌や人材派遣業などからの出稿減少が顕著。それだけに交通広告の新たな価値創造に躍起になっているという面もある。
駅構内だけでなく、街全体も含めて、文字どおりOOH広告を志向する電鉄会社もある。その筆頭が、私鉄大手の東京急行電鉄だ。
同社は08年、新ブランド「TOKYU OOH」をスタート。東急電鉄の交通広告や、東急グループが運営する商業施設の屋外広告などについて、窓口を一本化。グループ会社の東急エージェンシーが広告代理店からの出稿依頼を受ける。これにより、東急グループが強い渋谷の街全体を“広告ジャック”することも非常にスムーズになった。
TOKYU OOHは、マス広告媒体などと連携するクロスメディアの可能性を重視する。「OOHは仕掛けさえ作れば、いろいろな媒体間の有機的な相乗効果が図れる」(東急エージェンシーの太田貴之メディア開発部長)。08年11月には、東急線渋谷駅ホームの壁全面に日清食品のチキンラーメン50周年を記念した同社即席麺の系譜の広告を実現。この巨大な駅広告を材料にしたテレビCMも放映するという新展開で、CM放映期間中に同じ駅広告を再掲出し認知度を高めた。
またイベントも可能な駅構内店舗「ランキンランキン」を媒体に加えるなど、さらに立体的なOOH展開を図る。「東急の媒体をどう組み合わせ、消費行動に結び付けるかがクライアントから問われる」と、東急電鉄の河内綱司広告担当課長は言う。