デキる人は、自分の能力や手柄を褒められてもあまり喜ばず「カンベンしてください」と話しをそらす傾向があります。「ありがとう、助かります、任せます!」が、デキる人を育てる最高の褒め言葉のようです。
これまで「褒める」シーンのお作法をご紹介してきましたが、その逆のシーンも上手なお作法が必要となります。それは「しかる」シーンです。しかるのは気持ちのよい行動ではないですが、本人の成長のためにしかるのが必要な時は訪れます。実はこの「しかる」お作法は、相手が男性と女性の場合で使い分けが必要です。
しかる時は「逃げ道」と「入り口」を
その名も、「トビラ」のお作法。男性をしかる時、女性をしかる時、それぞれ違ったトビラを用意するお作法です。
男性をしかる時に大事なトビラは、「逃げ道」。男の言動は女性にとって理解しがたいことが多く、男を詰めてしまいたくなります。ところが男性は完膚なきまでしかられると激しく自信をなくしたり、いじけたり逆ギレしたりと挙動が揺れがち。最後に優しく逃げ道をつくってあげると「ごめんなさい」と素直に従ってくれる可能性が高くなります。
女性をしかってしまった場合のトビラは、「入り口」。場の空気を明るく切り替えて、自分が必要とされていることを伝えることです。気持ちが切れた女優さんに舞台に戻ってもらう時のように、いったん引いた気持ちをもう一度アゲてもらう雰囲気づくりが大事です。
実はこのお作法は、日本の神話「古事記」の兄姉神、姉アマテラスと弟スサノオをヒントにしています。女のトビラ「入り口」は、引きこもったアマテラスに何とか外に出てもらった「天の岩戸」のこと。男のトビラ「逃げ道」は、スサノオが数々の暴れん坊ぶりをとがめられたけど追放のみの処分だったこと。スサノオは追放された出雲で活躍して英雄となります。
古事記で出雲といえば、縁結びで有名な出雲大社。男女の縁を結ぶバレンタインにちなんだお作法とも言えますね。
「褒められて育つタイプです」ビームはうっとうしいし、しかる時は逃げ道が必要……。デキない男を扱うのは大変ですが、褒め方、しかり方次第では大きく化けるのかもしれません。小説『ジャン・クリストフ』の、こんなワンフレーズを思い出しました。
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