「他人を気にしすぎる子」は、成績が伸びない できる子は「没頭力」が身についている

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筆者は最近、東京大学の大学院に通っていましたが、そこには思考力の高い人がたくさんいます。しかし、よくよく考えてみると、東大でも入試ではトップで合格した人もいれば、ギリギリ合格した人もいるのです。

以前、そのトップ層の人たちと座談会をしたことがあります。そのときに感じたことは、彼らは、高校時代にすでに「勉強ではなく、学問をしている」ということでした。読書でも哲学書を読み、あるテーマについて深く考えていたり、数学では受験に出る出ないに関係ない高等数学に関心があって取り組んでいたり、ある意味“趣味の域”で楽しんでいるという様相でした。合格のために必死で勉強するというイメージとは、かなりかけ離れています。

実際に心掛けるといい3つのポイント

では、「どうしたら、競争世界にはまらずに、自らの世界に入っていけるようになっていくのか」ということが気になりますね。私が生徒に指導してきたいくつかのお話を最後にいたします。もし可能であれば、お子さんにも話をしてあげてください。

1.他者との比較はしない

過去の自分より成長したのか、比較するのはよい。ただ、他者と比較ばかりするのはムダです。他者のよさは参考にする程度にとどめ、悪いところは反面教師とする、と割り切れるようになったほうがいいでしょう。

これは簡単なようで、結構難しいかもしれませんね。しかし、非常に重要なところなので、事あるごとに親子で話をするとよいでしょう。

2.物事を『面白い』と感じている人に接し、共鳴する

その世界で楽しんでいる人と出会うと、面白さの共鳴が起こることがある

物事は何でもそうですが、「面白い」「楽しい」と思っている人から教わると、楽しくなるものです。そして楽しんでいるうちは、競争という概念が消え去ります。そうした人とふれあうことで、自分に没頭する習性を身につけていくといいと思います。

3.「人と同じであることが正しいとは限らない」と知る
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人と同じであることが正しいと錯覚している子が非常に多いと感じます。自分の意見が言えなくなり、人に合わせようとする子も増えています。質問されたとき、「わかりません」と言うか、前に答えた生徒と同じ答えを言うというシーンをよく見かけますが、間違ったこと、人と違うことをすることを恐れているようにも見えます。

大人になると次第にわかることですが、他人の意見ばかり気にしていても始まりません。自分の意見を持つこと、そして他者の意見を理解すること、このような認識が慣れてくると、目の前の競争など取るに足らぬことと感じ、自分の勉強に没頭できるようになってくるのではないでしょうか。

瀬田さんのお子さん、ご家庭はどうでしょうか。 他人を気にしすぎる傾向はありませんか?これからの受験に向け、点数や偏差値を上げるテクニックはいろいろありますので、そちらを取り入れていくことはもちろん必要です。一方で、まだ受験まで1年ありますので、こうした基本的なところにも目を配って行かれると、より大きな成長につながるのではないでしょうか。ぜひ参考にしていただければと思います。
 

石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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