TOEICではもう限界? 転換期迎えたビジネス英語
就職戦線と連動する新入社員の平均スコア
これだけ日本人の英語熱が高まっているにもかかわらず、世間では相変わらず「日本人は英語ができない」という評価が一般的だ。本当のところはどうなのか。
「TOEICの過去30年の平均点の推移を見るかぎり、受験者全体のスコアはほぼ一定している。受験者数が増え、裾野も広がっているのに、一定しているということは、むしろ全体の英語力は底上げされているのではないかと見ている」(TOEICを運営する国際ビジネスコミュニケーション協会広報渉外部)。
興味深いのは、新入社員の平均点だけを抜き出すと、90年代後半以降の就職氷河期にかけて右肩上がりで上昇しており、就職が売り手市場に転じると、緩やかに下降し始めている点だ。となると今後、新入社員の英語力は再び上昇していく可能性が高いということになるか。
一方、TOEICにすっかりお株を奪われた英検は、04年にビジネス英語能力テスト「STEP BULATS」を開始。巻き返しに挑む。「英語のスコアは高いのに、ビジネスの現場で書けない、話せないという状況に企業は頭を抱えている」(日本英語検定協会マネージャーの根上洋介氏)。
同検定は「聞く、話す、読む、書く」の4技能が測れることを売りにしており、TOEICの標準テストにはない、スピーキングとライティングの発信型技能についての問い合わせが非常に多いという。
「企業ニーズは単なる英語力の測定から、本当に“使えるスキル”へと変わってきている。われわれはその時代ニーズに応えていくつもりです」(根上氏)。