フィギュア王国になれない日本のアキレス腱

カップル競技を取り巻く環境はとても厳しい

ところが、氷の上では事情が違う。両目を開けて相対的に見るしかない。周りは、今のパートナーとの比較対象だらけ。そもそも得点という相対的な評価の上に成り立っているフィギュアスケート競技を続ける以上、許せないことは必然に出てくる。

「ツイズルの回転速度が遅い…」「リフトの時に力強さが足りない…」

互いに噴き出る不満は、相対性の中に2人を落とし込む。勝つためには別れを選ばないといけないときもある。もちろん、男女の関係と、あくまで競技の上でのパートナーという違いにはあるが、本当の男女関係であることと、疑似恋愛としてパフォーマンスすることが主な競技性のなかに、少なからず重なる要素はあってもおかしくない。「氷上では片目をつぶれない」発言に、カップル競技の難しさが集約されている。

フィギュア王国になるために必要なもの

というのは前段で、話を本筋に戻そう。日本フィギュアスケート界のカップル競技の現状について思案すると、思い出すのは2014年ソチ五輪での発言だ。主は日本スケート連盟の小林芳子強化部長。

「表彰式を見ていると、いつか本当のフィギュア王国になりたいと気持ちが高ぶりました。とても時間がかかるだろうけれど、少しずつ強化を進めるしかないです」

表彰式とは、羽生結弦の金メダルに代表される男女シングル日本代表の喜怒哀楽のドラマが起きる前に行われていた種目、団体戦でのこと。男女シングル、ペア、アイスダンスの4種目の選手が国別にチームとなり、総合得点を競い合う。開会式に先立って行われたこの新設種目で日本は5位となったが、果たしてその記憶をとどめている人はどれだけいるだろう。

その後に訪れた銀盤の衝撃が大きすぎたために、羽生も浅田真央も参加した団体戦のことが、話題に上る機会は著しく少なかったと思う。実際、手探り状態の決して完成された試合形式とは言えない種目で、その後に控えていたシングルへの調整という意味でのデメリットばかりが取り上げられるような種目ではあった。

団体戦といわれるものがなかったわけではない。世界選手権後に行われている国別対抗戦がある。ただし、これはシーズン集大成の大会を終えた後に開かれる「花相撲」的な色合いが濃い。2009年に始まり、観客動員やテレビ放映権を鑑みて開催地はすべて日本であることもその一因だ。国際スケート連盟主催大会で、得点も公式記録として残る大会だが、地元開催の後押しなのか、どこかお祭り的で大盤振る舞いの感じ。

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