ブックオフへ出資、出版連合6社の狙い
また、万引本の流通対策も視野に入れており、「書店で万引する人の多くは、古書店での換金が目的というデータがある。防止策は一部実施済みだが、今後ルールの厳格化について話し合いたい」(森常務)。
ブックオフの佐藤社長も「われわれの商売は著者が書いてくださるから作品が流通し、買い取りも販売もできる。(著者に)何らかお返しをしたい」と同調。万引対策でも「新刊本にICタグをつけて未精算の本を買い取れないようにするなどの仕組みができれば協力したい」とする。
ブックオフは積極的 カギ握る「自由価格本」
著作料の仕組みや万引対策のほかに、業界で大きく注目される点がある。それは出版大手3社がブックオフに対して「自由価格本」を提供するかどうか、である。
出版業界には、出版社側が決めた販売価格を取次会社や書店が維持する「再販制度」が存在する。だが、最近では一部の本について再販指定を解き、書店側が独自に価格を決められる「自由価格本」として書店へ再出荷する動きが広がっている。
すでにブックオフでも出版社から仕入れた自由価格本を「B★コレ!」という棚で展開しており、1棚当たりの売り上げは中古本棚の平均値を上回るという。ただし、最大のボトルネックは仕入れルート。現在、「B★コレ!」に並べられている本の発行元は、一部の中小出版社に限られ、売り場拡大に向けては仕入れ先の拡充が課題。それだけに佐藤社長は、「大手出版社も自由価格本を提供してほしい」と期待を寄せる。
新刊本の返品率が高まる中、各出版社にとって在庫負担は頭の痛い問題。「出版社の多くが、返品された在庫本を自由価格本として売りたいはず」(業界紙記者)。ただ、在庫削減ばかりを優先し、全国900店舗を抱えるブックオフへ自由価格本を一気に増やすとどうなるか。再販指定をどのタイミングで解くかなど、その仕組みづくりを誤れば、新刊本の売れ行きにマイナスとなりかねず、当然、新刊書店や取次会社にも影響が及ぶだろう。