マイナス金利なのに、早くも株価下落の理由

株式市場の反応は、なぜネガティブなのか

また米国債の利回りの低下もドルの押し下げにつながっている。米10年債利回りは9カ月超ぶり低水準の1.8%台にまで低下したが、まさに皮肉な展開にある。日本の金利が低下する中、投資家は外債など利回りが高い投資商品へ資金を振り向けようとするだろう。ただし、為替リスクを取りたくないため、為替ヘッジを行う可能性が高い。

結果的に米国債が買われ、利回りが低下することで米国債と日本国債の利回り差が縮小し、これがドル円の下押し圧力につながるといった構図になりつつある。為替はヘッジするため、円売りが出ず、円安圧力にはならない。米国債の利回りの方が低下余地は大きいため、現在の金利水準を起点にすれば利回り差は縮小し、ドル円は下げやすい。

日米の実質金利差からみたドル円の適正レベルは、長期で112~113円程度だが、2012年以降では103円程度となる。102円程度までの円高の可能性を本欄で指摘してきた筆者の見方は、金利面から十分に説明可能ということになる。

1万9000円以上は期待できない

バリュエーション面でも状況はきわめて厳しい。今期の日経平均株価採用銘柄の最新の予想EPSは約1170円である。平均的なPERを15倍とすると、適正株価は1万7550円となる。割高の16倍に買われたとしても1万8720円である。つまり、1万9000円以上は期待できないということになる。

一方、14倍にまで売られた場合には、1万6380円まで下げることになる。さらに13倍にまでオーバーシュートした場合、1万5210円まで下落することになる。前述のように、ドル円が円高に向かえば、来期以降の収益見通しも下方修正され、株価の上値は抑制されることになるだろう。

このように、円安をテコにした株高は期待しづらい環境にある。いずれはPER14倍の1万6380円から13倍の1万5210円までの下げを覚悟する必要があろう。ただし、当面はレンジでの推移を想定している。というのも、マイナス金利導入の影響を見極めたいとする投資家が売りを手控え、急落は避けられる可能性がある。しかし、結局は円安にならないことがわかれば、投資家も上値を買い上げることはできない。徐々に手仕舞い売りが膨らみ、来期の業績見通しの下方修正も加わり、下落に向かうだろう。

5日には1月の米雇用統計が発表される。FRB関係者は「世界の金融市場の混乱が利上げ見送りの理由にはならない」としている。今後は米国経済指標の軟調さが鮮明になれば、これが利上げ見送りにつながり、ドル安・円高基調がさらに強まるだろう。円高が日本株の売り材料になることはいうまでもない。マイナス金利の導入に一瞬慌てたが、いまのところ、長期的な方針を変更する必要はなさそうである。

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