三越伊勢丹の苦渋、さらなる閉店を決定
通常、破綻企業再生では家賃負担の減免などが施されるが、丸井今井の場合は自社店舗でそうした恩恵はない。また本店の耐震補強工事や改装投資負担も少なくない。前出の野村証券の正田氏は「仕入れ原価の削減余地はあるが、販管費の減額余地はあまりない」と指摘する。
さらに本店から約1キロメートル先にはライバル・大丸札幌店が構える。丸井今井が伊勢丹の高級化路線を取り入れて失敗したのに対し、03年札幌駅前に進出した大丸は道民のニーズをうまくくみ取り、手頃な価格の商品を取りそろえた。丸井今井札幌店は今年1月、売り上げ首位の座を大丸に明け渡した。そうした状況下での支援決定だけに、三越伊勢丹にとって今後経営の重しとなりかねない。
三越伊勢丹は昨年11月発表の中期計画で、富裕層が多い首都圏の店舗強化策を掲げている。具体的には伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店、銀座店の三つの中枢店舗を今後増改装する方向だ。さらに11年春には大阪駅前でJR三越伊勢丹の出店も予定する。だが三越日本橋、伊勢丹新宿の「両本丸」の店舗改革に手間取るなど、激変する消費環境への対応は遅れ気味。業界盟主の苦悩は深い。
(福井 純、松崎泰弘 撮影:今 祥雄 =週刊東洋経済)
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