三越伊勢丹の苦渋、さらなる閉店を決定
三越における構造改革はなおも続いている。「三越はまだ店頭を重視する体制ができていない。今期から一段と改革する」(和田秀治・経営企画部長)という言葉どおり、改革に向けての手綱を緩めない姿勢だ。武藤信一会長も「三越には(改革の余地という)埋蔵金がある」と希望をつなぐ。三越伊勢丹は中期計画で12年3月期までに160億円のコスト削減策を表明していたが、それを400億円にまで上積みする。
丸井今井が不安要素 両本丸の戦略に遅れ
だが、三越伊勢丹はさらなる“不安材料”を抱え込むことになった。4月末に再建支援を決定した北海道の老舗百貨店、丸井今井の存在だ。
丸井今井は昨秋以降の売り上げ急減で、資金繰りが悪化。今年1月に民事再生法の適用を申請した。05年から伊勢丹が13%出資しており、当初から支援企業には三越伊勢丹が確実視されていたが、2月に高島屋が支援を表明。高島屋が丸井今井の全店舗を存続させ、雇用を最大限尊重する姿勢を示したことで一時は優位に立つなど争奪戦は激化した。
土壇場で勝敗を分けたのは支援金額の差だった。高島屋の提示額は約110億円。三越伊勢丹側は130億円だったとされる。特に札幌本店の評価額が高島屋側は75億円で、三越伊勢丹側は95億円。「高島屋案は(大口債権者で本店の主担保権者の)北海道銀行を犠牲にして、丸井今井の他の店舗を救うプランだった」(地元金融機関)という。結局、関係者の話を総合すると、道銀が首を縦に振らず、支援企業は三越伊勢丹側に決定したことになる。
二転三転の末に丸井今井を傘下に収めた三越伊勢丹だが、その統合効果には疑問の声も付きまとう。