上京した希(23歳)が初めての合コンへ 「東京人だけがわかる言葉」に疎外感
初めての合コンは、正直楽しいとは思えませんでした……。
皆が盛り上がる話題に度々出てくる謎の単語。
「バンビーナの焼肉」 「エストネーション」 「ワイルドマジック」 「移転後のラス」「ヒルズヴァージンシネマのレイトショー」 「サードウェーブコーヒー」……。
東京の人だけがわかる秘密のキーワードで皆が盛り上がっています。まるでトラトラトラのような暗号めいた、単語の羅列……。
質問して話の腰を折るのも無粋な気がしたので、頭の中は、クエスチョンマークでいっぱいでしたが、顔には出さずに黙って聞いていました。それらの単語は、隠語のような意地悪な響きに聞こえて、私は、ヨソ者のような疎外感を感じました。
ふと、まぁくんがいるのに、浮ついた心が出た私への罰だなって思いながら。
疎外感を感じていると……
私の心にさした影に気づいてくれたのは、二階堂くんでした。
「そういえばさ、北海道ってさ、みんなススキノで遊ぶの?」
それをきっかけに、皆が、私との共通項を見つけて、積極的に話を振ってくれるようになりました。
途中、私がトイレにたったとき、二階堂くんと眞希子がやってきました。私があまり馴染めていないように見えたのでしょう。申し訳なさそうに、謝りました。しかも、二階堂くんから合コン終わりにフォローメールも。
ー俺の友達の一人が、希のLINE知りたがってたけど、彼氏いるからって断っておきました(Vサイン)ー
本当に頼もしい(笑)。会社の外で見るとクールそうに見えた二階堂くんですが、ちゃんと、私が知っている面倒見のよい優しい二階堂くんでホッとしました。初めての合コンは、楽しかったとは言えないけど、でも、東京のお兄ちゃんとお姉ちゃんみたいな2人のおかげで、何だか、少しだけ、東京の内面を除くことができた気がします。
「東京の男の子は」とか「東京の人は」って括って見ると、途端に見えなくなってしまうものってあるんですね。変な色眼鏡で見て勝手に不安がることは極力やめようと心に誓いました。
まぁくんですか? 昨日、帰り道電話したのですが、繋がりませんでした。コールバックもなかったので、今日の夜また電話してみようと思います。
***
東京での生活を歩き出した希。仲の良い同期・眞希子と、二階堂が主催する合コンに参加するも、そこまで楽しめなかったが、合コン以上に、同期2人の優しさに触れることができ大満足の希だった。東京での新生活も何となく乗りこなせそうな予感がする一方、地元の恋人との関係は……? どうなっていくのだろうか?
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