ホンダが「独り負け」、減益に沈んだ特殊事情 新車の販売増をマイナス要因が打ち消し

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4輪事業はホンダの営業利益の半分を稼ぐ屋台骨だが、第3四半期の営業利益率は3.3%と前年同期比0.8ポイント悪化。2輪事業の利益率11.3%と比べると4輪事業の収益性の低さが際立つ。

ホンダは伊東孝紳前社長が掲げた「世界販売600万台」目標に向け、世界各地で供給能力を増やした。555万台の生産能力に対し、478万台の販売(いずれも2015年度見込み)と約80万台のギャップがあり、固定費負担が重いことも低い収益性の一因だ。

2015年度通期については、インドネシアやブラジルでの2輪の販売低迷などを理由に売上高のみ500億円下方修正し、前期比9%増の14兆5500億円とした。営業利益の見通しは上期の貯金もあり、前期比2%増の6850億円を据え置いたが、達成には黄信号が点っている。

計上したリコール費用が戻る可能性も

エアバッグのリコール問題で頭を下げるタカタの高田重久社長(中央)

タカタ製エアバッグのリコール費用については、原因究明調査の結果が出てから行う費用分担をめぐって交渉を行う予定。結果次第では、ホンダが計上済みの費用の一部をタカタに請求することで、来期以降戻り益が発生する可能性もある。とはいえタカタが一定の費用分担をすることになった場合でも、タカタが債務超過になって全額を払えないおそれがあり、ホンダが一部の負担を求められる可能性も否定できない。

岩村副社長は、ホンダ独自の調査結果が出る時期について、「もう少し(時間)がかかると思うが、今年いっぱい待つことはできない」と話し、品質関連費用が膨らむ状況を早期に打開したいとの思いも透けて見える。しかし、調査の進捗とは別に、追加リコールも続いており、今後も費用がかさむ懸念がある。

最高益更新が相次ぐ同業他社から取り残されているホンダ。品質関連費用は当面、ホンダの経営陣を悩ますことになりそうだ。

木皮 透庸 東洋経済 記者

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きがわ ゆきのぶ / Yukinobu Kigawa

1980年茨城県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。NHKなどを経て、2014年東洋経済新報社に入社。自動車業界や物流業界の担当を経て、2022年から東洋経済編集部でニュースの取材や特集の編集を担当。2024年7月から週刊東洋経済副編集長。

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