あおぞら銀・新生銀の統合は公的資金狙いか、問われる金融行政

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 一方、今回の統合に関連して、公的資金注入が実施されるとの観測も出ている。昨年12月に改正された金融機能強化法は、銀行側の申請があれば、公的資金の検討が行われる。

しかし両銀行とも過去に莫大な公的資金を投じられた「再生銀行」という立場にある。中でも新生の場合、収益実績が経営健全化計画を大幅に下回った結果、そのペナルティ措置として、政府保有の優先株が普通株へと転換されている。現在、政府は議決権数の23%強を保有する。

厳しい状況に置かれているとはいえ、本来的には銀行が自力で民間(資本市場)からの調達を行うべき。それを棚上げし、金融危機下で金融システムの安定化を優先し公的資金注入を行う必要があるとすれば、金融システム安定化と銀行経営のモラルハザードという二律背反に苦しむ米国の状況は、もはや他人事ではないといえる。

(浪川 攻 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済)

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