あおぞら銀・新生銀の統合は公的資金狙いか、問われる金融行政
新生銀行、あおぞら銀行という大手2行による経営統合交渉が浮上した。すでに両行は貸出資産の内容をチェックし合うデューデリジェンスを実施。成否は各行の筆頭株主である米投資ファンドの判断次第ともいえる。
両行は1990年代の金融危機のさなか経営破綻した旧長期信用銀行を再生する形で誕生した。新生の前身は旧日本長期信用銀行、あおぞらの前身は旧日本債券信用銀行。
再生当初こそ両行とも順調に改善したが、国内不況に世界的な金融危機も重なり、収益状況はしだいに悪化。2008年度は、新生は1431億円(単体1570億円)の最終赤字、あおぞらも大幅な赤字に転落する見込みで、公的資金注入銀行に義務づけられた経営健全化計画の収益計画を、2期連続で達成できない事態となっている。
4月25日、「(統合に関して)決定の事実もなく、公表すべき事実はない」という趣旨のコメントを両行とも発表したが、交渉の事実について複数の関係者が認めている。
ただし、両社は今年に入ってデューデリ作業を始めているものの、これは本格的なものではなく、資産資料の一部を提供し合う「簡易方式」にとどまる。いわば初期段階で交渉の事実が明るみに出たわけだ。
公的資金注入の是非
金融庁の佐藤隆文長官は4月27日の会見で、「収益力の強化や企業価値の向上は、金融システムの安定強化にも資する面がある」と、統合交渉について前向きとも受け取れる発言をした。確かに、世界的な金融危機が発生している状況下で、金融システムのさらなる安定化が図られるのは好ましいことだろう。