北欧の名監督が仕立てたシリアス映画の魅力 奇妙な官能美や深層に潜む恐怖を描く

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『イノセント・ガーデン』

『イノセント・ガーデン』(2013/アメリカ/99分)

「アリス・イン・ワンダーランド」と比べると、驚くほど“女らしく”成長したミア・ワシコウスカが、渾身の演技で迫るエロサスの秀作。18歳を迎えた孤独な少女インディアは、最愛の父を不審な事故で亡くす。葬儀の日、突如として行方不明だった叔父のチャーリーが現れ、不仲の母と3人で暮らすこととなる。以来、不可解な出来事が続き、周囲の人々は失踪していく……。「ブラック・スワン」のスタッフが仕掛けただけあって、チャーリーとインディアのピアノ連弾シーンなどは、奇妙な官能美が漂っていて、見応え充分。チャーリー役のグードは、若かりし頃のデヴィッド・ボウイみたい!?

『フリア よみがえり少女』

『フリア よみがえり少女』(2012/スペイン/96分)

スペインからも才気あふれる監督、アントニオ・チャバリアスが登場。ある日、小学校の教師をしているダニエルのもとに幼なじみのマリオが突然訪ねてきて、7歳の娘フリアと会ってほしいという。忌まわしき過去を呼び覚まされるのを嫌い、ダニエルがその申し出を断ると、数日後マリオはフリアの眼前で自殺する。

ダニエルの妻ラウラのたっての願いで、子供のなかった夫妻はフリアを引き取り、共に暮らすことに……。過激な展開を望む方には物足りないかもしれないが、人間の深層心理に潜む暗部(=怪物!)の恐怖を描いたこれまた秀作といえる。

『消えたシモン・ヴェルネール』

『消えたシモン・ヴェルネール』(2010/フランス/93分)

パリ郊外の高校でシモン・ヴェルネールという生徒が失踪。教室から血痕が発見され、警察による捜査が開始されるが、数日後同クラスの女生徒レティシア、さらに翌日ジャン=バティストが消息を絶つというシナリオは、新鋭監督自身の高校時代の実体験が元ネタらしい。“謎の生徒連続失踪事件”というと、即「ピクニックatハンギング・ロック」(1975年)が思い浮かぶが、事件とかかわる4人の生徒それぞれの視点から描かれる物語構成は、むしろ日本の主要映画賞を総なめにした「桐島、部活やめるってよ」(2012年)にかなり近い。ソニック・ユースの音楽は本作とベスト・マッチ!

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