長期病欠市議の報酬問題は、なぜ起きたのか 「個人の不祥事」と切り捨てれば本質を見誤る
「議員報酬は銀行振り込みではなく、現金手渡しでもらっているのですが、昨年(2015年)1月からは(自身が所属する会派=自民党無所属の会が預かったままで)受け取りに行っていません。
事務員やスタッフを雇っているので、そのぶんのおカネはかかるものの、現在はそういう条例はありませんが、報酬の一部は返済させていただきたいと考えています。残された1年の任期をまっとうさせていただくのが責務だと思っており、完全には復帰できないかもしれませんが、これからの私を見ていただきたい」
一方で、北九州市に限らず、国や地方自治体の財政状況は厳しい。北九州市が2009年の市議会選挙で定数を従来の64→61議席に減らしたのは、それを反映した動きだ。その状況で議会に長らく出席できていない木村市議に、税金からいっさい減額もされない報酬が払われ続けたことで、北九州市民だけでなく全国からも批判の声が集まるのは致し方ない。ある自営業者は、「仕事を休めば直ちに収入はゼロ。国民健康保険には所得保障給付はなく、働けなくなった場合のリスクは100%自己負担だ」と憤る。
「療養中の政治活動」、情報発信が不足していた
療養中の政治活動についても、陳情への対応などの個別的なやり取りにとどまらず、有権者の多くがスマホを持つような今の時代であれば、事務所のホームページやブログ、SNSなどで不特定多数へ情報発信するといった手段も採れたかもしれない。政治家の活動や成果は一般市民の目に見えにくいだけに、なおさらだ。
木村議員の事務所のホームページはプロフィールや理念・政策などを紹介しているぐらいで、オフィシャルブログの更新も2013年1月17日以来、更新されていないようだ。
木村議員はこの点については、「ネットを使っても、そのときだけの風とか雰囲気で終わることが多いものの、こういう事態になってあらためて、自分の政治活動についてブログやSNSなどでの情報発信をやっておけばよかったというのが本音です。(北九州市議会の)ほとんどの先生(議員)がフェイスブックなどを活用していますが、私はほとんど手をつけていません。大いに反省すべき点です」と話している。