若い男性の約3割は「専業主夫」指向だ 「家族サバイバル戦略」としての側面も

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──大変なこと?

育休明け直前にはいくつもの重大事項が待ち受けている。たとえば保育園を探す、さらに病気などいざというときの預け先探しだ。この手配をもっぱら妻がやらなければならない。まして、夫は働き方を変えず、逆に家族が増え、しっかりした大黒柱にならないといけないと意識して、より働くようになったりする。土日もあまり育児に協力してくれない。

この間、ある働く母親の会合で若いママから「夫は死んだものと思っている」という発言を聞いた。そう思わないと期待してしまい、つらくてしょうがないというのだ。妻は働きに戻ると、家事、育児が全部肩にかかってきがちだ。

「主夫」は新しい夫婦の戦略

白河 桃子(しらかわ・とうこ)/相模女子大学客員教授。内閣府「少子化社会対策大綱」有識者委員、まち・ひと・しごと創生本部「地域少子化対策検証プロジェクト」委員、「一億総活躍国民会議」民間議員を務める。1961年生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。著書に『専業主婦になりたい女たち』など、共著に『「婚活」時代』など

──専業主夫が欲しいと。

夫にすれば、仕事も家事も育児もやっているつもりでいる。これでは夫婦両方ともつらい。互いに協力してつらさを軽減していくのが大事になるわけだが、主夫という新しい夫婦の戦略があってもいい。

もともと女性が専業主婦として家庭に入るという選択肢だけがあるのがおかしい。家事、育児を男性にしっかりやってもらいたいなら、男性が家庭に入る、専業主夫になるという選択肢があってしかるべきだ。そうなってこそ、互いに背負っている過重な荷を下ろせる。

──収入の問題も大きい。

アンケートでは年収は妻7対夫3ぐらいまでならぎりぎり許せるという人が結構多い。しっかり働いている人が対象だったこともあって、夫婦の世帯年収は落とせないとも。

本書に載っている例には、妻が家庭の大黒柱になっている人を多く選んだ。男性が専業主夫になるハードルは高いとはいえ、女性が大黒柱となることはもっとハードルが高い。この人たちは何を思って、なぜその役割を引き受けたのか。実にみなさん幸せそうだ。それも妻が幸せでないと意味がない。妻が幸せな専業主夫家庭はどうなっているのか。男女逆転した世界には教えられることが多い。

そこに身を置くと、異性はこういうことをつらく思うのだなと気づき、男女逆転を体験することで、お互いがとらわれている不自由さがくっきりわかってくる。ただ、役割を男女で逆転したからといって、主夫は主婦とまったく同じではない。大黒柱の妻は夫の男らしさのプライドを大切にしてあげている。当たり前の夫婦と役割が逆なことを意識してしっかり話し合い、お互いを尊敬することも忘れない。幸せな夫婦とはこういうものだというのがよく見える。

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