台湾学生運動リーダーが案ずる新政権の進路 結局は国民党のようになってしまう可能性も
また、他の新興政党と比べ、民進党は自由貿易・経済開放路線に傾いている政党だ。そんな路線を展開していく過程で、どういう条件を台湾が持って、どのような手続きを踏まえて国民に納得してもらえるようにするのか。この点で、民進党がどうするのかはまだ予測できない。TPP(環太平洋パートナーシップ協定)のような自由貿易協定の問題など、対外経済の問題において国内での対立が高まると考える。
――時代力量のような新興政党の活動が、今回の選挙で大きく取り上げられました。国民党・民進党の2大政党制に風穴を開けるものとして「第3勢力」と呼ばれましたが、第3勢力政党の動きをどう評価していますか。
第3勢力が出現し、実際に選挙戦で競争を繰り広げたことは、台湾において初めてのことだった。設立1年にも満たない政党らが、比例代表での政党票で言えば、時代力量が6.1%を獲得して議席を得た。また、緑党社会民主党連盟も2.5%を獲得した。緑党社会民主党連盟は議席を獲得できなかったが、このような結果を残したことは台湾では非常にまれであり、今後の台湾の選挙においてとても重要な意味がある。第3勢力が台湾の未来の政治を変えることもありうる。
「第3勢力」の出現は多くの政治参加者を増やした
緑党社会民主党連盟は議席を得られなかったと言っても、選挙区選挙での立候補者が得た得票率を見ると、来る地方選挙で市議会議員候補として出馬すれば当選者が出てもおかしくない。今後、地方で議席を得ることになれば、より多くの政治参加者を育成し、将来は首長選挙でも突破口を開くことになるかもしれない。
――時代力量をはじめ、第3勢力は政策的に似ている民進党と協力するケースが目立ちました。
これら第3勢力の勢いが選挙戦後半で想定を上回ったため、民進党はあわてて「緊急事態」を宣言した。民進党の政党票が想定よりも大きく減る可能性があると見たためだが、この緊急事態宣言は、特に時代力量にとっては一種の脅しになったかもしれない。「今は協力しているが、いつでも時代力量に向かう票をこちらに回すことができるのだぞ」といった警告として映ったのではないか。そのため、時代力量が獲得した政党票は予想よりも少なかった。
次の選挙では、時代力量は民進党と協力、あるいは譲歩すべきかどうかという問題に直面するだろう。時代力量の自主性・独自性が民進党に奪われるかどうか、次の選挙こそ正念場だ。2月1日から始まる立法院で、民進党との関係をどうしていくのか、あるいは彼らに対抗するのかどうかを注目すべきだろう。
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