台湾学生運動リーダーが案ずる新政権の進路

結局は国民党のようになってしまう可能性も

――2014年のひまわり学生運動が今回の選挙に与えた影響をどう見ていますか。

率直に言えば、今回の選挙の投票率はとても低いものだった。2012年の74.38%から66.27%と10%近く落ちてしまった。若者たちの間で「帰省して投票しよう」と呼びかけ合い、多くの若者たちがそうしたが、彼らの投票率が実際に高いのか低いのか、よくわからない。ただ若者の投票率が低くなったのではなく、中高年層が投票しなかったことが投票率を押し下げたとみるべきだろう。

編集部注:台湾のシンクタンク「台湾智庫」の調査によれば、今回の選挙において20~29歳の有権者の投票率は74.5%だった。そのうち、総統選では、20~29歳の有権者の54.2%が蔡英文候補に投票し、国民党の朱立倫候補には6.4%。30~39歳の投票者のうち、蔡候補には55.5%、朱候補には5.0%だった

民進党は両岸関係で国民党と同じことをやる?

ひまわり学生運動による影響について、新政党の「時代力量」を例にして言えば、彼らの候補者、たとえば主席の黄国昌氏はこの運動と関係が深かった。台湾の国民からすれば、時代力量は台湾の政治において「ひまわり学生運動で生じた力の継承者」とみることができる。その脈絡において、時代力量が今回の選挙で5議席を得たことは指標的な意味があると思う。ひまわり学生運動が政治にうまく介入できたということだ。

しかし、反省すべき部分もある。時代力量が議会入りしたことをもって、ひまわり運動の全部を代表することはできない。選挙区選挙で当選した時代力量の3人の候補、すなわち黄国昌、洪慈庸、林昶佐の各候補者は、選挙戦で民進党と協力関係にあったものの、比例代表における政党票ではそれほど多くの票を集めたわけではない。一方で、同じ時代力量から新竹市の選挙区から出馬した邱顯智候補は選挙期間中、常に民進党と競争関係にあり、民進党と妥協しなかった。結局落選したものの、政党票ではこの選挙区で最高の得票率となった。この点は注目すべきだろう。

――大勝した民進党ですが、彼らに問題はありませんか。

民進党は過去、憲法改正や国民投票法、そして政党法などに対し修正案を出したことがあるが、勝利した後にこれらを継続して推進していくのかに注目している。また、選挙戦中にははっきりと説明しなかったが、両岸関係(中国と台湾の関係)の経済・貿易問題などで国民党と同じような路線を進むこともありうると思う。

今後の民進党は、保守的で安定・安全路線を進むだろうし、受け身の姿勢に入るかもしれない。そのため、両岸関係は大幅に調整される可能性は低くなることを、われわれは心配している。今後も注意して見ていく。

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